~ コロナ禍で縮小する日本最大の教育分野展示会 ~
去る5月12日(水)~14(金)青海展示場(お台場)にて、「教育総合展EDIX東京」が開催されました。EDIXは、大阪でも行われますが、大学、小・中・高校、教育委員会、塾・予備校、専門学校などの職員・教員、企業の人事研修部門などの方が来場する教育分野 日本最大の展示会です。4都府県に発出されていた新型コロナウイルス感染拡大の緊急事態宣言が、5月31日まで延長されたことで開催を危ぶむ声もありましたが、主催者側が展示会の同時入館者数が5000人に超えないよう配慮し、感染対策を徹底して予定通り開催しました。
EDIXには、第12回教育ITソリューションEXPO、第4回学校施設・サービスEXPO、第2回STEAM教育EXPO、第1回保育・幼稚園ICT化EXPO、第1回人材育成・研修EXPOの5つの展示会で構成され、教育関連企業などがさまざまな製品・サービスを展示。各種セミナーも実施されます。昨年は、NPO法人科学技術教育ネットワーク(NEST)も、学校の先生がプログラミング指導法を動画で学べるe-Learningサイト『STEMing(ステミング)』の紹介のために出展しました。
昨年のコロナ禍での開催で、出展数・来場者数とも少なくなった印象はありましたが、今年は緊急事態宣言が延長されたことで出展を取りやめたり、オンラインによる展示や動画配信に切り替えて対応したりするなど、例年400以上の出展社数が今年は300に満たず、例年3万人前後の来場者数も1万人に減少。例年の活気はなく、教育界が新しい教育を模索している只中にある現在、教育の進化そのものが鈍化しないか、一抹の不安を感じました。また、コロナ禍を反映し、衛生関連商品や遠隔授業支援、学校運営のデジタル化などの展示が目立ちました。
私たちが最も関心があるのは当然「STEAM教育EXPO」。例年と比べあまり変わり映えのしない教材が多い中、0歳児から学べるロボット教材「クミータ」が登場し、興味を持ちました。女性社長が率いる日本の会社が独自で開発したものです。2019年ロンドンで行われた世界最大の教材展「BETT」で私がとても興味を持った、4歳からのロボット教材「matatalab(マタタラボ)」(中国)も、KUMONが代理店となり、補助教材が充実していました。Studino(スタディーノ)を製作しているアーテック社から今年7月に安価なデータロガーが発売されるのも朗報です。Truthリトル・ダヴィンチ理数教室でも教材として使用している「micro:bit(マイクロビット)」のブースもあり、現在は人気が急上昇し、入手困難な状況にあるとのこと。安価なこともあり、学校での導入が盛んになってきているのでしょう。なお、先にご紹介したNESTの『STEMing』でも指導法を紹介しています。
ロボット教材・プログラミング教材が玉石混交とも言われる中、真に良いものが生き残っていくのでしょう。また、プログラミングに偏りすぎ、機構に関する教材が手薄になってきているのも危惧を感じます。教材会社の担当者も日本のSTEAM教育(Science, Technology, Engineering, Art, Mathematics)の教育はまだまだスタートラインにも立っていないのでは?と感じているようです。展示会を訪れるたびに、私共もより良い教材と教育を提供できるよう邁進しなけばと強く感じます。ともあれ、コロナ禍が一刻も早く収束し、教育がまた大きく動き出す状況になれることを期待します。