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2018年10月13日土曜日

トゥルースの視線【第133回】

AIは人間を超えられるのか?(2)
日本の子どもたちはAIに勝てるか?

 前回に引き続き、国立情報学研究所教授、同社会共有知研究センター長、一般社団法人教育のための科学研究所代表理事・所長の新井紀子氏著「AI vs教科書が読めない子どもたち」の内容を簡単にご紹介いたします。まず、なぜ東ロボくんが東大受験を断念したか?それは、AIの限界を証明したからです。

 「真の意味でのAI」が人間と同等の知識を得るには、私たちの脳が意識無意識を問わず認識していることをすべて計算可能な数式に置き換えることができることが大前提になります。しかし、数学が4000年の歴史をかけて発見した数学の言葉のすべては、「論理」「確率」「統計」の3つに限られています。AIといえどもコンピューターは計算機であり、できることは基本的に四則演算だけ、しかも使っているのは足し算とかけ算のみ。数学には「意味」を記述する方法がない。だから、AIには意味を理解する仕組みが入っているわけではなく、あくまで「あたかも意味を理解しているフリ」をしているに過ぎないのです。

 「2016年度第1回東大入試プレ」で、東ロボくんは数学では偏差値76.2を記録したものの、150億もの英文を暗記した英語の偏差値は50.5、国語に至っては49.7にしかならず、東大の挑戦権を得るには遠く及びませんでした。ディープラーニングの限界を証明したことは、東ロボくんプロジェクトがもつ意義ではあります。しかし、多くのホワイトカラーの職がAIに奪われるという予想が現実のものとなることをも示唆しました。1学年の数は約100万人、その半分の50万人がセンター試験を受験し、東大君がその上位20%に入りました。東ロボ君に負けた80万の子供たちに明るい未来が提供できるのか?という疑問を新井教授は抱きました。

 2013年にオックスフォード大学の研究チームが発表した10~20年後に残る職業の共通点は、高度な読解力と常識、加えて人間らしい柔軟な判断が要求される分野で、AIが不得意な分野と一致します。新井教授は、それまで誰も疑問を持たなかった「誰もが教科書の記述は理解できるはず」という授業の前提に疑問を持ち、全国25,000人を対象に、独自で開発をした「基礎的読解力調査(リーディングスキルテスト:RST)」を実施。AIが80%程度の精度を持つ「照応(主述・修飾被修飾の関係)」「係り受け(指示語)」に加え、AIにはできそうもない「同義文判定(2つの文を読み比べて意味が同じであるかを判定)」「推論(生活体験や常識から意味を理解する能力)」「イメージ同定(文章と図やグラフを比べて内容が一致しているかどうかを認識する能力)」「具体例同定(定義を読んでそれと合致する具体例を認識する能力)」を加えた6つの観点から作成しました。

 その結果は、「照応」の正答率が中学生6割・高校生7割、「係り受け」は中学生7割弱・高校生8割弱で意味を理解できないAI並み。「同義文判定」中学生6割弱・高校生7割、「イメージ同定」1~2割・高校生3割前後でした。鉛筆を転がして選択肢を選ぶ程度のランダムさしか示していない結果もあります。PISA読解力2015年世界8位の日本ですが、移民の少ない国で日本語を母国語として育つ子供の割合が極めて高いにも関わらず、3人に1人が教科書を読めない(内容理解を伴わない表層的な読解もできない)子供がいるのは、なぜか?これでは、AIに職を奪われても仕方ありません。

新井氏がこの読解能力調査で分かったことは、
・高校の偏差値との相関は高い
・中学では向上するが、高校では向上していない
・家庭の経済状況とは逆になる
・通塾や読書の好き嫌い、科目の不得意、スマホの利用時間、学習時間とは無関係など。

 私たちも読解力の低下は何となく感じていましたが、理数の能力はとても優れているのに、問題の文章が正しく読み取れていないために正答することができない場面が気になっておりました。リトルダヴィンチ理数教室では問題文を正しく読み取る練習として9月から「算数・数学思考力検定」の過去問を扱う授業を加えたのは、このような背景があるからです。新井教授の研究は進んでいくと思いますが、私共教育に携わる者として、真剣に向き合って考えなければない重要な問題だと思います。

トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳


トゥルース・アカデミー
http://truth-academy.co.jp/

2018年7月31日火曜日

トゥルースの視線【第131回】

ここが違う!TruthのSTEM教育④
理論・カリキュラム・実践の三位一体による高い実績


 当アカデミーは、2000年から教育用レゴブロックを教材とした科学技術教育、2001年からロボットを教材としたロボット製作・プログラミング教育、2008年らScratchなどを使用したプログラミング教育を行ってきたパイオニアとして知られています。いわゆる今はやりの「STEM教育(科学・技術・工学・数学の教育分野の総称)」の先駆けです。当時はロボット製作やプログラミングの教室はほとんど皆無であり、世間からはまだまだ玩具、お遊び程度に思われていた時代です。

 しかし、昨今はロボット教室やプログラミング教室が全盛の時代。そんな中、今年のロボットサイエンス体験会で初めて次のようなご質問を受けました。「ロボット教室はたくさんありますが、この教室は他と何が違うのですか?」と。改めて何が違うのかをまとめてみました。

1)根底として、プログラミング教育・ロボット教育の元祖、マサチューセッツ工科大学メディアラボのシーモア・パパート元名誉教授が唱える「コンストラクショニズム」という教育理論に基づく教育を実践。教育関係者からは「理論と実践が完璧に一致している」と高い評価を受けています。

2)実践に基づいたオリジナルのカリキュラム・授業案に対する信頼が高いこと。教師用の指導書として出版され、学校の先生を始め多くの指導者が活用していたり、科学館や行政機関、学校での授業提供も15年以上継続して行ったりしています。国立教育政策研究所の論文でも、私共の指導書に基づいた実践事例が紹介されています。

3)初心者から上級者まで学習できる豊富なカリキュラムを提供。ブロックサイエンスでは小2~3年生からレゴ社WeDoを使用してプログラムを学びます。ロボットサイエンスではレゴマインドストームEV3から始まり、ロボットの自作・センサー製作、C言語によるプログラミング、Arduinoを使ったロボット製作やプログラミング等、小学生から高校生まで学べる内容を用意しています。

4)教室の授業での指導は、当アカデミーの卒業生を中心に、国際的なロボットコンテスト「ロボカップジュニア」でジャパンオープン(全国大会)に何度も出場したり世界大会に出場したりして、現役時代(19歳以下)に活躍したOBが担当しています。彼らのロボット製作やプログラミングの思想や技術、考え方の文化が伝承される環境を用意しています。

5)ロボットコンテストを「これまでの学習の発表の場、広い地域からの人々との交流による学びの場」と捉え、積極的に参加しています。ロボカップジュニアでは、2004年からほぼ毎年日本代表として世界大会に参加し世界チャンピオンも輩出している、最も実績ある団体です。また、宇宙エレベーターロボット競技会で一昨年は小学生部門1位と3位、昨年は準優賞。FLLジュニアでも、モデルデザイン賞を受賞。今年から参加を始めた、米国発祥の国際的なロボコン「RoboRAVE」では、当アカデミーも属するNPO法人科学技術教育ネットワーク(NEST)が東日本大会の運営を依頼され、東日本での普及を図っています。

 また、NESTでは、現在世界的に科学教育に必要とされる「制御」と「データロギング」をテーマに、「NESTロボコン」や「ロボットの鉄人」「ICTサイエンスキャンプ」などを毎年行い、ICTを活用した教育実践事例のコンテスト「ICT夢コンテスト」で3年連続CEC奨励賞を受賞。教育の質の高さが評価されています。

 この17年間パイオニアとして日本のSTEM教育をリードしてきましたが、時代が私たちに追いついた今、さらなる魅力ある先進的な教育を提供していきたいと存じます。Truthの新たなチャレンジをご期待下さい。

トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳


トゥルース・アカデミー ブロック・サイエンス
http://truth-academy.co.jp/bs/

トゥルース・アカデミー リトル・ダヴィンチ理数教室
http://truth-academy.co.jp/lv/

トゥルース・アカデミー ロボット・サイエンス
http://truth-academy.co.jp/rs/

2018年5月26日土曜日

第9回 教育ITソリューションEXPO

プログラミング&ロボット教材はすでに飽和状態か?




 5/16(水)~18(金)東京ビッグサイトにて、「第9回教育ITソリューションEXPO」が開催されました。学校業務支援・教材・教育コンテンツ・ICT機器・eラーニング・みらいの学びに関する教育などをテーマに約700社が出展しました。




 2020年に小学校でプログラミングが必修科目になることを受け、プログラミング教材やロボット教材が、昨年よりさらにボリュームアップした感があります。特に、今はやりのプログラミング言語学習環境「Scratch(スクラッチ)」がベースの教材や、幼児対象のアンプラグド(パソコンを使わない)のプログラミング教材が増えたことも目立ちました。様々なロボット教室やプログラミング教室のフランチャイズ展開も力を伸ばしているようです。また、ブロックをつなぐだけで電子回路ができる教材が、その種類を増やしました。3DCADソフトも数社が色々なアプローチをしているようです。実験のデータを取得して解析するデータロガーについては、まだまだの感があります。




 今展示会では、教材の種類は増えたものの同じようなものが目立ち、新しい概念を打ち出した教材は無いように思いました。「2020年に向けてビジネスチャンスが到来し、今や百科繚乱の感はある」、「しかし、ここから淘汰が始まり、本当に優れた教材や教室だけが残るのでは?」という意見が、各関係者から多く出ました。気になった新教材のサンプルを取り寄せ、検証した上で、常に時代の先端を行くTruthとして、新カリキュラムの開発に邁進したいと思っております。

トゥルース・アカデミー
http://truth-academy.co.jp/

トゥルースの視線【第129回】

ここが違う!TruthのSTEM教育②
ー 教材が持つ可能性を最大限に引き出す授業 ー




 ブロック・サイエンスでは、レゴエデュケーション®の教材を使用しています。2000年10月から日本における第1期のレゴ教室としてSTEM教育をスタートし、マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボのカリキュラムをベースに、今の日本の子供たちに必要な教育とは何か?を日々模索しながら独自カリキュラムを開発してきました。その結果、ブロック・サイエンスには、3つの大きな特徴が挙げられるようになりました。


 特徴の1つは「問題解決学習」。具体的には、「困っている人・動物がいるので、その人・動物の問題を解決するための物を各ステップで使用しているブロック教材で作ろう」という課題です。①提示された絵の中にどのような問題があるかを発見する②解決策を考える(解決のための推論を立てる)③問題解決のためのオリジナルの作品を作る(試行錯誤しながらの創作活動)④なぜそれを作ったのか、どのような工夫をしたのかを発表する(プレゼンテーション)⑤実験によって問題が解決したかを検証する(作品の評価)、という流れ。これは、ブロックビルダーⅠ(年少)から導入を図り、ブロックビルダーⅡ(年中)では野生動物園を舞台に様々な動物が抱える問題を解決。ブロックビルダーⅢ(年長)以降では、「基礎理論のための実験→それを利用した現実社会に存在するモデルの研究→問題解決学習」という流れで行います。問題解決学習では調べ学習も行いますので、それまで学んだ知識や技術と、調べた情報とを基に問題を解決する、という正にPISAのいう「リテラシー」(知識や情報の活用力)を育成するのには極めて有効と考えています。


 2つ目の特徴は、キッズクリエーター(小1・2)以降、ステップが上がるにつれて「物理」が明確なテーマになっていくことです。様々なモデル研究を通して、機械力学の基礎の基礎をハンズオン学習で直接体験しながら学んでいきます。ジュニアエンジニア(小3~小6)やジュニアインベンター(小5~中1)では、中学理科で扱う「仕事とエネルギー」の概念を常に意識しながら学習を進めます。特にジュニアインベンターでは、空気圧や太陽光や風力エネルギーと仕事の関係を扱っています。だんだん研究室のような雰囲気になってきます。とある公立高校で同教材を使用したところ、これまでペーパーでしか学んでこなかった高校生たちは、「あ、こういうことか!」と大喜びしていました。Truthに通う子供たちは、理論に先立ち、楽しい思い出と共に実体験の引き出しをいっぱい作っているので、成長して理論を学んだ時にどこからでも引き出すことができます。各種ロボットコンテストで高い実績を挙げ、一流大学理系に進む卒業生が多いのは、この幼い頃からの実体験のためでしょう。


 3つ目は、「デジタルとの融合」。今はプログラミング教育全盛時代となりましたが、21世紀の理科教育に必要なものは「制御(プログラミング)」と「データロギング(実験データを取ること)」であると、ここ数年言われています。キッズクリエータⅡ(小2・3)からプログラミングによる制御が始まりますが、ジュニアエンジニアで
は各単元の最後にマインドストーム®を用いて、センサーを使った自動制御やデータロギングを行っています。自動ドアやコインの選別機を作ったり、振り子の等時性を調べたりといった活動です。さらに、ジュニアインベンターでは、プログラミングによる制御とデータロギングを同時に行い、データによってプログラミングを修正するといった活動も行います。例えば、ソーラーパネルの動きを制御し、効率よく発電するにはどのような動きをプログラムすればいいのか?発電量の変化をグラフで読み取って、効率が悪いところはどう修正すればいいか?など。


 教育力の圧倒的な差が、生徒たちが長く通ってくれて、対外的にも大きな実績を残し、卒業しても末永く付き合いが続く、大きな一因になっていると確信しています。Truthの教育に共感し信頼して下さっている子供たちや保護者の皆様の期待に、どこまでも応え続けたいと思っております。

トゥルース・アカデミー 代表 中島晃芳

トゥルース・アカデミー
http://truth-academy.co.jp/

2018年4月20日金曜日

トゥルースの視線【第128回】

ここが違う!TruthのSTEM教育①
―社会的構成主義を実現する独自カリキュラムと指導―


 2020年から小学校でプログラミングが必修になることを受け、雨後の筍のように同種の教室が増えてきています。そのような状況の中、2000年からSTEM教育(科学・技術・工学・数学教育)を実践している当アカデミーが依然として他の教室と一線を画す特長はたくさんあります。

 その中で最も重要なのは、「社会的構成主義」という教育理論を実現している点です。現在世界の子供たちが求められている学力は、OECDが実施する国際的な学習到達度調査PISA=ProgrammeforInternationalStudentAssessment)が求める学力、いわゆる「PISA型学力」であることは周知の事実となっています。その育成に最も有効とされる教育が、PISAにおいて学力世界一を誇ったフィンランドの教育です。そして、フィンランド教育を世界一に導いたのが「社会的構成主義」と言わます。一言で言うと、「知識は固定的に教え込まれるべきものではなく、他者との協働の中で構成されていくと考える教育哲学」です。

 砕いてお話すると、「構成主義」とは、教師が一方的に知識を与えるのではなく、「学習者としての子供たちが自らの活動を通して自分自身で知識を構築し獲得できるようなものでなければならない」とする考え方です。これに「LeaningbyMaking(作ることで学ぶ)」という主張を加えたのが、マサチューセッツ工科大学メディアラボの創設者の一人、人工知能の研究者としても広く知られるシーモア・パパートが唱える教育理論「コンストラクショニズム」。パパートは、「デバグの効用」や「推論・実験・検証という正しい学びのサイクル」を唱え、プログラミング教育・ロボット教育の元祖であり、プログラミングソフトScratchの源やLEGOMindstorms®のアイデアを生み出しました。「社会的構成主義」とは、これを分断された個人が行うのではなく「他者との関わりで学ぶ」、すなわち、他の学習者と意見を交換したり刺激し合ったりしながら、その協働の中で知恵や知識を高め、自らの力で目標を達成させる、という考え方なのです。ここでは、教育者の役割はteacher(ティーチャー)やinstructor(インストラクター)として知識を与えることではなく、facilitator(ファシリテーター・促進者)やmentor(メンター・良き助言者)として学習者たちの活動を目標に向かって正しく進めるように導くことになります。

 「21世紀型スキル」を育成するには、プログラミング教育やロボット教育は不可欠です。しかし、ICTスキルの育成にだけ軸足を置いては、単なる教科の学習と何ら変わりはありません。創造力・イノベーション・批判的思考・問題解決・意思決定・学びの学習・メタ認知(認知プロセスに関する知識)・コミュニケーション・コラボレーション(チームワーク)・地域と国際社会での市民性等を含む「21世型スキル」やPISA型学力をも育成するには、「社会的構成主義」が避けては通れないと確信しています。そのため、既存のカリキュラムでは実現できないので、パイオニアとして、全カリキュラムと授業案、ワークシートをオリジナルで作成し、他にない指導を十数年にわたって実践し続けているのです。

 お蔭様で、Truthの授業を見学したり指導者養成講座を受講したりした学校の先生や教育関係者からは、「理論と実践が完璧に一致している」と評価をいただいています。また、教室での活動を拡大して行うNPO法人科学技術教育ネットワーク(略称NEST)では、ICTを活用した教育実践事例のコンテスト「ICT夢コンテスト」でも、「ICTを活用して社会的構成主義を実現する活動」として認められ、3年連続CEC奨励賞を受賞しています。

 Truthには、21世紀に求められる新しい教育があります。

トゥルース・アカデミー代表中島晃芳

トゥルース・アカデミー
http://truth-academy.co.jp/


2017年9月30日土曜日

10月スタート!年中対象「リトル・ダヴィンチ プレキッズ」受講生募集 !

数、図形&立体、プログラミング、を楽しく学ぼう!

10 月よりプレキッズ ( 受講対象: 年中 ) が開講いたします。プレキッズ ステップでは、カリフォルニア大学 バークレー校ローレンスホー科学教育 研究所が全米の先生向けに開発した 「GEMS」(ジェムズ:Great Explorations in Math and Science/数学と科学の偉大なる冒険)というカリキュラムを導入。こ れは、幼稚園から高校生対象の科学・数学領域の参加体験型プ ログラムです。



これに加えて、推理・推論・記憶力を育てる算 数ゲームや「クリックス」という正方形の形をしたベルギー生 まれの知育ブロックを使った立体図形の構成などを学びます。 これらを通して、数理センスの根底にとなる「規則性があるも のに美しさを感じる心」を育てます。



また論理やアルゴリズム、 図形の学習として、年間を通して毎回の授業内で、タブレット を使ったプログラミングの演習を行います。



受講希望の方は、希望教室に直接お申込みください。体験希 望の方は、10 月以降に開講クラスにて体験を受け付けます。
http://truth-academy.co.jp/lv/

2017年1月18日水曜日

トゥルースの視線【114回】2017年新年のご挨拶

2017年 新年のご挨拶

-人工知能とロボットの時代に生きる(3)-
 
 
2017年東京は、今年も暖かく穏やかな三が日を迎えました。明けましておめでとうございます。

昨年末2つの国際的な学力調査の結果が発表されました。日本の子どもたちは、理科・算数数学で順調に学力を伸ばしているようです。

一つは、11/29に発表された国際教育到達度評価学会(IEA、本部オランダ)が実施する、小学4年と中学2年が対象の国際学力テスト「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)」の2015年の結果。主に学校で学んだ内容について、「知識」「技能」「問題解決能力」の習得状況を評価します。日本は全4教科の平均点でいずれも1995年の調査開始以来、過去最高を記録。中2理科の国際順位は前回から2つ上げて2位となるなど、全教科で5位以内に入りました(小4算数5位・理科3位、中2数学5位・理科2位)。-日経新聞-

理科の結果について、森本信也・横浜国立大教授(理科教育)は、高得点を取った生徒の割合が増えていることから「『理科離れ』が言われて久しいが、観察や実験の機会を増やして深く考えさせる『課題解決型』の授業が定着してきた成果が表れている」と評価。算数・数学について、藤井斉亮・東京学芸大教授(数学教育)は、学習していない内容の問題でも国際平均並みの正答率がみられた点に注目。「課題解決型の授業で学んだ知識をもとに、自分で考え、未知の問題にも挑戦する姿勢がうかがえる」と解説します。-朝日新聞-

もう一つは、3年に1回行われる経済協力開発機構(OECD)の2015年学習到達度調査(PISA= Programme for International Student Assessment)。義務教育修了段階にあたる15歳を対象に読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野について知識や技能を実生活の場面でどう活用できるかを評価します。「科学」「数学」の平均点の順位は、現在の調査方法になって以降いずれも過去最高(科学2位、数学5位)。しかし、文章や資料などから情報を読み取り、論理立てて自分の考えを記述する「読解力」は前回より22点低く、4位から8位に下がりました。文部科学省は、問題表示や解答が紙での筆記からコンピューターの使用に変わったことを挙げ、「複数の画面を見て答える問題などで、子どもたちに戸惑いがあった」としつつ、「情報を読み解き、言葉にする力で課題が浮かんだ。スマートフォンでインターネットを利用する時間が増える一方、筋だった長い文章を読む機会が減っている」(同省教育課程課)と分析しています。OECD教育・スキル局のアンドレアス・シュライヒャー局長(下写真)は、コンピューターへの移行について「情報化社会でのものの読み方の進化を反映させた」と説明。「様々な情報を対比させ、批判的な目で見て、見極める能力が必要になっている」と指摘しました。-朝日新聞-
 

理数の学力が伸びた一方で、TIMSSやPISAのアンケートでは、「科学の話題について学んでいる時は、たいてい楽しい」「科学についての本を読むのが好きだ」「理科が自分の将来にとって重要と考えているか」「理科は得意だ」「数学は得意だ」と感じている生徒の割合が以前より上がったものの、意欲面ではまだ国際平均を下回っているとのこと。森本教授は、生徒の探求心の向上などに関する研修に参加した教師の割合が国際平均を大きく下回っている点に注目。「教師が教科書の解説にとどまり、生徒に学ぶ楽しさを教える授業ができていない可能性がある」と指摘しています。

元旦の日経新聞では、「当たり前と考えていた常識が崩れ去る。速まる一方の技術の進歩やグローバリゼーションの奔流が、過去の経験則を猛スピードで書き換えているからだ。昨日までの延長線上にない『断絶(Disruption)』の時代が私たちに迫っている」「AIなどの『第4次産業革命』が迫り、人口減の衝撃も様々な断絶を生む。私たちはそんな時代に生きているのだ」と論じています。

このような状況下で、世界がより複雑で不安定になり、多様化が進むと予想される2030年に向けて、子どもたちに求められる『知識・スキル・行動』を特定・再定義し、それらの素質や能力を育むために必要な教育についての長期的な議論を促進すること等を目的としている “Education 2030”と題するプロジェクトをOECDは、日本を含め全加盟国に参加を呼びかけています。

前出のシュライヒャー局長は、2030年に求められる能力として、(1)グローバル化し複雑化する社会において、多様な協力関係を結びそれらを管理する能力(2)問題の細かな要素を結びつけ価値を生み出す能力(3)情報を整理する能力(4)専門家としての深い知識と、ゼネラリストとしての知識の幅広さをあわせ持つことなどを挙げています。また、忍耐力や自信のある生徒ほど数学の成績が良いというデータを示し、「認知能力以上に重要な要素として、社会的スキルや感情的スキルがある」と述べています。そのうえで、これらを総合した21世紀型の教育カリキュラムとして(1)知識(伝統的な数学・言語などの教科、現代的な知識としてのロボット工学・起業など)(2)スキル(創造性、批判的思考能力、コミュニケーション能力、協働等)(3)人格形成(好奇心、勇気、立ち直る力、倫理観、リーダーシップ等)の3要素を網羅した枠組みづくりが必要であると強調します。

新しい時代の教育に向けての小さな実験場としての当アカデミーとNPO法人科学技術教育ネットワークでは、科学技術教育の分野で、Education2030が目指す教育を実践すべく、スタッフ一同全力で邁進していきたく存じます。ご期待ください。

本年もよろしくお願いいたします。

トゥルース・アカデミー 代表 中島晃芳
 
 
 


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トゥルース・アカデミー ロボット・サイエンス

2016年11月16日水曜日

トゥルースの視線【112回】

トゥルースの視線【112回】
人口知能とロボットの時代に生きる(1)
 
- 労働人口の半分がロボットに? ―


去る10月7日、夜テレビをつけたら、なんとあの松原仁先生(公立はこだて未来大学教授)が報道ステーション(テレビ朝日)にコメンテーターとして出演しているではないか!松原先生は日本の人工知能研究の第一人者であり、元ロボカップ日本員会会長で、当アカデミーの先輩たちは「松原仁」と書かれた表彰状をたくさんもらいました。ジュニアジャパンの理事であり、ロボカップ2017名古屋世界大会でもアドバイザーを務めて下さります。もはや、人工知能(AI)やロボットを抜きにして人間が生活できる時代ではなくなったことを、誰もが認識しなければならない時代になったことを改めて痛感しました。

一方で、人口知能やロボットに人間の職業が奪われることを心配したり、新たなビジネスチャンス、人間の生き方を変える絶好の転機と捉えたり、様々な議論が沸き起こっています。

株式会社野村総合研究所は、英オックスフォード大学の機械学習を専門とするマイケル A. オズボーン准教授およびカール・ベネディクト・フレイ博士との共同研究により、国内601種類の職業について、それぞれ人工知能やロボット等で代替される確率を試算。この結果、10~20年後に、日本の労働人口の約49%が就いている職業において、それらに代替することが可能との推計結果が得られたと発表しています。(2015年12月)

では、どのような職業が人工知能に取って代わり、どのような職業が代替されないのでしょうか?サイエンスライターの森山和道氏がレポートした、オズボーン氏の分析を紹介したいと思います。

ビッグデータ解析は既に弁護士などの文書チェック、契約文書の準備にも用いられ、かなり複雑な法律的相談にもシステムが用いられるようになっており、単純作業・肉体労働・小売だけでなく法律分野などでも自動化が進んでいる。日本の職業では、会計監査係員、税務職員、行政書士、弁理士などは機械にとって代わられる可能性が高い。事務職やホワイトカラー業務、そして賃金が高い業務はコンピュータによる代替が可能。一方、雑誌記者、中学校教員、弁護士、歯科医師などは代替リスクが低い。ソーシャルコミュニケーション、非定型業務である。翻訳や司書は中間。また代替されにくい仕事は意思決定者のような職務と、人でしかできない仕事とに二極化するだろうと。要するに、芸術、歴史学・考古学、哲学・神学など抽象的な概念を整理・創出するための知識が要求される職業、他者との協調や、他者の理解、説得、ネゴシエーション、サービス志向性が求められる職業は人工知能等での代替は難しい傾向があり、一方、必ずしも特別の知識・スキルが求められない職業に加え、データの分析や秩序的・体系的操作が求められる職業については、人工知能等で代替できる可能性が高い傾向が確認できたとしています。

オズボーン氏は、自動化しやすい仕事としにくい仕事の違いは、「クリエイティビティ(創造性)」と「ソーシャルインテリジェンス(社会的知性)」の2つの要素を含んでいるかどうかだと言います。また、新たな職業も生まれます。今後の社会的対応については、オズボーン氏は「再教育が鍵となる」と述べた。今後は機械とうまく連携しながら社会的知性を活用しながら仕事をすることが求められるという。さらに、ソーシャル・インテリジェンスやクリエイティビティ自体がコンピュータ化される可能性についても触れて、クリエイティブな職種も将来は自動化される可能性があると指摘。例えばちょっとした会話をするチャットボットなら実現できるが、人を説得したり交渉したりすることは今の時点では難しい。ソーシャル・インテリジェンスについても情報を構造化できるものならば機械化できるが、人の頭の中にしか情報がないようなものの場合は難しいと述べました。 

10年〜20年後には、今の子供たちのほとんどが何らかの職業に就いていることでしょう。このような社会に子供を送り出すには、どのような教育が求められているのでしょうか?


トゥルース・アカデミー 代表 中島晃芳
 
 
 


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