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2010年4月15日木曜日

2010年4月

ロボカップジュニア2010結果報告
-今年も多くのチームがジャパンオープンへ!目指せ世界大会!!-


3月13日(土)ロボカップジュニア2010神奈川・西東京ノード大会、14日(日)に東東京ノード大会が東京都立産業技術高等専門学校において、28日(日)に関東ブロック大会が筑波学院大学において開催されました。

 神奈川・西東京ノードは大会最多となる全53チームが参加。日吉校の全9チームが出場しました。サッカーチャレンジプライマリ優勝B&B'(嶋本R・名古屋Y)、レスキューチャレンジプライマリ優勝252@K(浜辺K)、セカンダリ優勝RCXレスキュー隊(清水S)、ダンスチャレンジプライマリ優勝もっちーズ(小林A・鈴木Y・飯島I・井下N)と、出場した全ての部門においてトゥルースのチームが優勝を飾りました。5チームが関東ブロック大会へ駒を進めました。

 東東京ノード大会には飯田橋校・練馬校の全23チームが出場。サッカーチャレンジプライマリでは全チームが敗退という悔しい結果に。スタッフ、メンバーともにこれからのロボット開発、研究の方向性、方法について考えさせられました。セカンダリでは卒業生チームTech-IS(瀬戸T・礒田H)が優勝。ダンスチャレンジプライマリ優勝、連獅子(平澤R・杉浦S・佐藤H・野村S・武井Y・松村K・柳澤Y)をはじめ10チーム(うち卒業生3チーム)が関東大会出場を決めました。


 関東ブロックには、各ノード大会を勝ち抜いた、サッカー40チーム、レスキュー30チーム、ダンス15チーム、全85チームが集結しました。当アカデミーからは全体の約5分の1となる15チーム31名が出場。最高気温7°ととても春とは思えない寒い一日でしたが、参加メンバー達の闘志で会場が熱気に覆われました。

 サッカーチャレンジでは激戦の末、プライマリB&B'が準優勝、セカンダリTech-SIが準優勝に輝きました。
世界一のレベルを誇るレスキューチャレンジでは、強豪チームを押さえ、プライマリ優勝3T-Robots(亀井I)、セカンダリ優勝RCXレスキュー隊と両部門で表彰台の中央に上がりました。

ダンスチャレンジでは、もっちーズが安定した演技が見せノード大会に続き優勝。連獅子、ロボケストラ(今野S・梶H・名倉R・荒木K・上原M・宇梶Y)も入賞し、ジャパンの切符を手に入れました。
今年は初めてとなる会場での開催でしたが、当アカデミーのご父母の方々を始め、多くの方々にボランティアとして大会運営をお手伝いいただき、無事大会が終了しました。改めて沢山の人達に支えられて大会が運営されていること、ご父母の皆さまのご理解、ご協力なくしては成り立たないことを実感いたしました。ご協力いただいご父母の皆さまに心より御礼申し上げます。

 昨年末に開催したロボカップジュニア強化合宿に参加したメンバーから多く、関東、ジャパン進出チームが生まれ、様々な活動が実を結んでいることを感じることができました。

今年も上記チームを含め、数チームが5月ゴールデンウィークに大阪工業大学大宮キャンパスで開催される「ジャパンオープン2010大阪」に、世界大会(シンガポール)進出を目指し出場します。引き続き、熱いご声援のほどお願いいたいます。

■ロボカップ2010 ジャパンオープン大阪■http://rcjj-kanto.org/news.html
  【日時】5/2(日)~4(火) ※ジュニア競技は5/3に予選、5/4に決勝
  【場所】大阪工業大学大宮キャンパス(大阪市旭区)

■ロボカップ2010世界大会 シンガポール■http://www.robocup2010.org/
  【日時】6/19~6/25 ※ジュニア競技は6/21~6/24
  【場所】Suntec Singapore International Convention and Exhibition Centre


 

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春休みサイエンス講座報告
― 五感を使った科学講座に大興奮!  ―


この春休みに各校で開催した『春休みサイエンス講座』は、好評のうち終了いたしました。

算数アカデミーの「パターンブロック陣取りゲーム」(年中・年長) では、パターンブロックによる形づくりから始まり、最後の陣取りゲームでは大盛り上がり。ブロックの置かれていない空間をどのような戦略で埋めていけば勝てるか?まで考えられる子も出てきました。

「クリックスで解明するサイコロの秘密」(小1・小2) では、組み合わせや合同な図形を考えながら、正方形を6つ組み合わせた平面図形ヘキソミノ35種類の制作、立方体の展開図探しに熱中しました。

科学アカデミーの「ウーブレック」(年中・年長) では、固体と液体の性質をあわせ持つ奇妙な物体ウーブレックの性質調べに熱狂。最後はウーブレックを採取する宇宙船の設計を行いました。

「化学反応」(小1・小2) では、色が変わったり、泡が出たり、熱を発したりする反応に大興奮。熱を発生させる物質の組み合わせをチームで話し合いながら考えました。

リトル・ダヴィンチが提唱する、「五感を使って観察する科学」「手順(アルゴリズム) を考える科学」「目の前にある事象から法則性・規則性をつかみ取る算数」の在り方を実感していただけたと感じております。


■4月からの通常授業について

幼児対象「科学アカデミー・プレスクール」の内容を扱った授業は、日本科学未来館や体験講座、春休みサイエンス講座といずれも大好評なのですが、残念ながら通常授業開講に至っておりません。
当アカデミーでは幼児の科学教育は必要であるという信念(Truthの視線第47回・第48回参照) から開講したのですが、授業曜日や毎週通うことの大変さ、月謝などの関係が要因となり、短期イベントならば参加できるのに、と考えられる方が多いのだと感じております。しかし、継続的に科学することの重要性を考えると実現しなければならない、という使命感も依然変わらず持っております。

そこで、さらにご理解を深めていただくため、5月以降月1回のペースで単発講座として開催し将来的に通常授業開始を目指したいと存じます。ご了解のほど、よろしくお願いいたします。


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ロボット・ベーシックⅠファイナルチャレンジ
-「新SASUKE(サスケ)」結果発表!-


3月22日(月休)に飯田橋校において全校合同、ベーシックⅠファイナルチャレンジ「新SASUKE」を開催したしました。

  「新SASUKE」は、ベーシックⅠでの一年間の研究の集大成、卒業課題となるロボットコンテストになります。ベーシックⅠでは、プログラミング制御の基本となる、モーター制御、センサーの使用方法、条件分岐基本について研究してきました。ロボットコンテストの練習も兼ね、調整から本番までロボカップ等のロボコン同様の一日の流れで行いました。

  今年は欠席者が多く、少ない人数での大会となったのが残念でした。そんな中、島Tくんが2ラウンドとも安定したパフォーマンスを披露し、優勝の座を勝ち取りました。ベストデザイン賞は、ご父母さまにより投票の結果、須藤Tくんに授与されました。


  第3ステージの「スラローム」では、超音波センサーを使って間を検知し、よけるというこれまでに無い新しい攻略法を植田Yくんが考案し、披露しました。

  新ステップでもどのようなアイデアを出してくれるか、活躍をしてくれるか楽しみです。


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★トゥルースの視線(第51回)★
第51回数学的リテラシー①
― 日本における数学教育の環境 ―


日本の子供たちは数学の知識や技能の面では世界トップクラスでありながら、数学への興味も応用への関心も乏しいことが指摘されています。現実の問題解決のために「数学が役に立つ」と考えるアメリカの子供が7割いることに対して、「数学は役に立たない」と考えている日本の子供が7割を占めているそうです。

これは、次の国立教育政策研究所の発表(2004)でも、同様の結果を示しています。
・数学で学ぶ内容に興味がある(日本32.5%/OECD平均53.1%)
・学んだ数学を日常生活にどう応用できるかを考えている(日本12.5%/OECD平均53.0%)
・将来の仕事の可能性を広げてくれるから数学は学び甲斐がある(日本42.9%/OECD平均77.9%)

今日の社会で、数値やグラフ、形など様々な形式で身の回りにあふれる情報を数学の眼で正しくとらえて比較・評価し、その解釈に基づいて的確な判断を下す能力の重要性を疑う人はいないはずです。また、学習者が、今まさに行っている学習が将来の生活と直接つながっていることを実感し、数学を学ぶ意義を見出しながら学習できることが望ましいことも、疑う余地はありません。

なのになぜ、不幸なことに、日本の子供たちは、これほど数学を学ぶ意義や魅力を感じられないのでしょうか?

数学教育協議会の小寺隆幸氏は、「学校では『学力』向上が至上課題とされ、結果がわかりやすい計算力などに焦点を当てて、鍛錬・競争・習熟度別授業などで勉強を強いる動きが強まっている」と指摘。

東京学芸大学名誉教授の杉山吉茂氏は、さらに手厳しい批判を行っています。「極言するならば、今の数学教育は、入学試験や就職試験のために行われているといっても過言ではない。いろいろなテクニックを素早く用いることができることを求め、わけがわからなくても記憶に頼って、ただ与えられた問題を解決できればよいと考える子供の姿勢。計算力が低下する殻とテクノロジーの導入を極力排除しようとする学校教育界。入学試験しか役に立たない数学ならば、できるだけ数学の内容を少なくしたいと考えている一般の人々。そういう中でも、数学教育のもたらしえくれる教育的価値を少しは実現されているだろうが、それほど多くのことは期待できないでいる」

これまでこの「Truthの視線」の述べてきました、今世界が求める学力と日本が求めている学力との乖離(かいり)が数学教育でも問題となっているようです。

次回は、世界が求める「数学的リテラシー」とは、どのようなものか?ご紹介したいと思います。


【参考文献】
『市民としての数学』小寺隆幸(数学教育協議会)
『中学数学の新しいカリキュラム』杉山吉茂(東京学芸大学名誉教授)
『数学的リテラシー論が提起する数学教育の新しい展望』清水美憲(筑波大学)