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2011年5月15日日曜日

2011年5月

4チームが世界大会に 今年はトルコ・イスタンブール
-ロボカップジュニア関東ブロック大会 ジャパンオープン2011大阪 結果報告-


4月24日(日)に関東ブロック大会(埼玉大学)、5月3日(火祝)~5日(水祝)にジャパンオープン2011大阪(インテックス大阪)が開催されました。

  関東ブロックでは、各チャレンジとも実力を発揮し、ジャパンオープン選抜枠21チーム中、当アカデミーが13チームを占めるという好成績を残しました。

  ゴールデンウェーク恒例行事となったロボカップ遠征ツアーには、過去の人数を大幅に上回る全13チーム30名さらに同じRISE所属のエレファントアリーより1チーム4名、自作マシン講座を担当する奥山先生が茨城で指導している1チーム3名もツアーに同行し、総勢37名が参加しました。

  大会前日2日(月)より新幹線にて大阪入り。壮行会では、選手達がこの場にいない教室の仲間達の分も頑張ると決意を表明し、ご父母の皆さまより激励の言葉が贈られました。

  サッカーチャレンジでは、ここ数年、決勝に進出することができず、今年こそはと強い気持ちで活動をしてきました。その成果が実を結び、全3チームが決勝進出を果たしました。決勝トーナメントでは、連日の連戦にロボットにもダメージが蓄積され、惜しくも世界大会出場とはなりませんでしたが、自作マシン製作講座の当初の目標の一部を達成することができました。決勝進出を果たしたチームは、来年よりパルス発光のボール、グレースケールではなくグリーンカーペットを使用するサッカーAオープンもしくは、Bに出場することになります。


  世界大会へのは複数人チームでの参加が必須となったレスキューチャレンジ。関東ブロック大会後に急遽チームを編成。短期間でチームとして活動すること難しさを本当のチームとして信頼を築くことの大切を実感させられました。その中、2日間、安定したパフォーマンスをした、プライマリ「3T-Robot」「Σ」「RCXレスキュー隊」の3チームが世界への切符を手にしました。

  ダンスチャレンジでは、失敗の少ない演技が評価される中、「Suikas」が大きなスイカ割りを制御し、第3位に輝き世界大会出場を決めました。セカンダリには当アカデミーからの出場はありませんでしが、高度な技術を用い、素晴らしいパフォーマンスを披露し、観客を驚かせました。


  また、全チャレンジで再優秀プレゼンテーション賞を獲得できたこともビッグニュースです。総合学習としての当アカデミーの水準の高さが示されました。

  震災の影響により、毎週大会が行われる超過密スケジュールなかで参加者は全員、自分達の目標に向かいよく頑張りました。結果は問わず、この大舞台での経験は、参加者達にとって自信に、今後を自分で切り開く力になると思います。

  引き続き、世界に挑む挑戦者達にご声援お願いいたします!


■ロボカップ2011 トルコ・イスタンブール世界大会
http://www.robocup2011.org/
http://www.robocup2011.org/
【日時】7/5~7/11 ※ジュニア競技は7/7~7/10
【場所】Istanbul Expo Center

     ■神奈川西東京ノード
      http://blog.goo.ne.jp/rcjj-kanagawa-nishitokyo/

     ■東東京ノード
      http://blog.goo.ne.jp/east--tokyo

     ■関東ブロック
      http://rcjj-kanto.org/news.html

     ■ジャパンオープン大阪
      http://www.robocupjunior.jp/entry/


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サイエンスキャンプ、オーシャンプロジェクト2011参加者募集!
―夏の大自然をフィールドにサイエンス活動! ―


最先端ICT教育・ロボット教育のパイオニアRISE科学教育研究会(http://www.rise-j.net/:視線第10回参照)では、今年の夏も教室から飛び出し、海に山に大自然をフィールドに様々なサイエンス活動を行います。昨年に引き続き、子どもゆめ基金(独立行政法人国立青少年教育振興機構)として『オーシャンプロジェクト』『サイエンスキャンプ2011』を開催します。

    『オーシャンプロジェクト-海と生き物を科学する-』は、RISE所属の教室「エルプレイス」が4年前より開催してきたプロジェクト、昨年からはRISE主催として1泊2日とさらに活動を拡大し行っています。豊かな原生林と美しい海が広がる、神奈川県真鶴市琴が浜海岸で開催します。磯観察会や、シュノーケリングで自然の中の生物に実際に触れたり、データロギングなど様々な活動を通じ、海と生き物について研究します。夕食に出される、サザエやカニなど豪華な海の幸も楽しみの1つです。


    『サイエンスキャンプ2011』は今年で7年目を迎え、今年も「高尾の森わくわくビレッジ」にて実施いたします。「データで探る 山の自然」をテーマに、データロガー、温度や明るさを検知するセンサーを持って登山し、取得したデータを解析し、高尾山の自然や気候について研究します。キャンプならではのテント設営、食育活動を交えた飯ごう炊さん、キャンプファイヤーなど盛りだくさんの3日間です。

    今年の夏は自然の中でどのような出会い、発見が待っているでしょうか?参加者はどのような笑顔を見せてくれるでしょうか?今から胸が高鳴ります。

RISEオーシャンプロジェクト2011 開催概要
■開催日:7月30日(土)~31日(日) 1泊2日
■開催場所:真鶴市 琴ヶ浜海岸
■宿泊先:ペンション「SHIOSAI」
      http://www.pension-shiosai.jp/
■募集対象:小学3年生以上
■参加費:15,750円(税込)
■定員:24名
■申込:6/14(火)~申込用紙またはRISEホームページから

RISEサマーキャンプ2011 開催概要
■開催日:8月9日(火)~11日(木) 2泊3日
■開催場所:高尾の森 わくわくビレッジ
      http://www.wakuwaku-village.com/
■募集対象:小学4年生以上
■参加費:15,750円(税込)
■定員:32名
■申込:6/14(火)~申込用紙またはRISEホームページから→こちら


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★トゥルースの視線(第60回)★
― 科学的リテラシー③発達の最近接領域 ―


  前々回『メタ認知』を基本とした科学教育の必要性をご紹介しました。これは、まさに当アカデミーが実践する『コンストラクショニズム』(視線第2~5回参照)に当たります。では、『メタ認知』を発揮して学習者が自発的・自律的に問題解決に取り組めるようになるには、何が必要なのでしょうか?

  アメリカの教育心理学者であり、認知心理学の生みの親でもあるブルーナー(Bruner.J.S)は、学習初期における直観的な曖昧模糊とした考えた学習者を動機付け、その考えを教授者が生かすとき、それは彼らにとって学習への見通しや目的意識を形づくることを指摘し、これを「ヒューリスティック(heuristic)」と名付けました。

  前回紹介しました森本氏はこれを援用し、「問題解決の始まりは学者自身が疑問、目的意識、見通しや目的意識等の解決すべき課題をまず意識することであり、それこそが学習者の問題解決の動機になる。この活動が維持されていくと、それは結果として、子どもが常に自らの考えの進捗状況をモニタリングするという活動(メタ認知)へと結びついていく」と述べています。

理科教育に置き換えると、「子どもに自然現象にかかわる思いつき、疑問、問題意識をもたせることが、科学的な発見や考察へと導く。そして、子どもの中でこうした活動が少しずつ意識づけられるとき、予想や仮説の形をとる見通しや問題意識として彼らの中に根付いていく。予想→観察・実験→結果→データ処理→考察という巷間指摘される理科における一連の問題解決過程へと子どもを動機付ける重要な要因、それは問題意識、見通し、目的意識であり、観察・実験についての考察の質に影響を与えていく。この過程において、『発達の最近接領域』に基づく『足場作り』によって、子どもの考えが徐々に科学的な内容に変換される」と指摘しています。

  『発達の最近接領域』とは、「子どもが自力で問題解決できる現時点での発達水準と、他者からの援助や協同により解決可能となる、より高度な潜在的発達水準のずれの範囲」を意味します。これは、「心理学のモーツァルト」とも称されたロシアの発達心理学者レフ・ヴィゴツキーが提唱し、課題設定の方法として当アカデミーでも最も重視している考え方です。また、ロボカップジュニアの大会で私が繰り返し申し上げている「子どもの自律的・自発的な学習をいかに確保するか? そのために、大人はどう関わるべきか?」も、この『発達の最近接領域』を考えれば分かり易いかと思います。

  課題設定が子どもの発達水準よりも低すぎれば意味がありません。また、逆に高すぎれば学習意欲もなくなります。大人が無理に水準を引き上げようとすると子どもにとっては苦痛になってしまったり、大人の関与が度を超えて過剰になったりします。要するに、自分一人では解決できないけれど、お友達と意見を交換したり刺激を与え合う中で、あるいは先輩や先生と一緒に考えたり、ちょっとしたヒントやアドバイスをもらったりしながら、自分の力で到達し得るレベルの課題設定をしなければならない、ということです。

  先生と生徒のやり取りだけではなく、生徒同士が意見や刺激を交換し合うコラボレーションの中で知恵や知識を高めていく、気付きと発見を積み上げてファシリテーターとしての先生の触媒を介して、自分たちの力で目標に到達するという授業運営を当アカデミーが採用しているのは、この『発達の最近接領域』の考えに基づいているからに他なりません。(視線第7回参照)

  次回は、『足場つくり』について、お話しさせていただきます。

  【参考資料】
『子どもの科学的リテラシー形成を目指した生活科・理科授業の開発』
(森本信也・横浜国立大学理科教育学研究会)