2019年新年のご挨拶
~ 人類は新たなステージへ ~
毎年元旦には新聞各紙に目を通しますが、ここ数年はITやAI(人工知能)、ロボットといった技術革新の特集が毎年組まれています。今年出色なのは、「つながる100億の脳 常識通じぬ未来、『人類』問い直す」というタイトルで始まった日経新聞『Tech2050新幸福論』の特集ではないでしょうか?①猿人から都市国家(個から集団へ変化)②第1次~第2次産業革命(動力・エネルギーの革新)③第3次産業革命(情報処理・共有の発展)④生命科学の進歩(人の限界への挑戦)に続き、今バイオとデジタルの発展により、「ヒト、機械、ネットワークの融合」を目指す「第5の革新」が加速度的に進行しているとのこと。その内容には大変驚かされます。全世界的ベストセラー『サピエンス全史』の著者ユヴァル・ノア・ハラリは、その最新作『ホモ・デウス』で、これまで人類が苦しんできた「飢饉と疫病と戦争」は、もはや無力な人類の理解と制御の及ばない不可避の悲劇ではなく既に対処可能な課題となったと語り、次なる人類の課題として「不死と幸福と神性」を標的にする可能性が高い、ロボットやコンピューターと一体化しながら人間(ホモ・サピエンス)を神(ホモ・デウス)にアップグレードするだろうと予想します。日経の特集は私たちがまさにその過程にあることを自覚させるのに十分な内容でした。
松尾氏は述べる。「ディープラーニング(深層学習)の研究はロボティクスのような機械などのリアルな世界の方向に進んでいる。自動運転、医療画像、顔認証など画像認識にはイメージセンサーやカメラが必要だ。電気や機械の基礎知識を習得した高専出身者は強みを発揮できる。ディープラーニングを学んでから電気や機械を学ぶよりも、逆の順の方がはるかに簡単で身につきやすい。電気や機械の基礎を学ぶには1、2年はどうしてもかかるが、ディープラーニングはあっという間にできるようになることがある。これからのAI時代の三種の神器は電気、機械、ディープラーニングだ」「高専出身者はとにかくやってみて、結果を私のところに持ってくる。こちらも的確な指導ができて、次のチャレンジにどんどん進んでくれる。いろいろなモノを使えるようにする実装力がある。プロジェクトのリーダーとしてもふさわしい」と。
2020年小学校での必修化に伴い、世はプログラミング教育に浮き立っている感があります。しかし、現実社会はもっと先に進んでいて、求められる能力はプログラミング・スキルだけではありません。トゥルースは、STEM教育を始めてから18年余り、ブロック・サイエンスやロボット・サイエンスでのメカニズムとプログラミングの融合、データロギングの学習、リトル・ダヴィンチでの算数活動や電気の学習、それらとプログラミングの融合など、いろいろな教育的チャレンジを行ってきました。しかもそれらを、21世紀に求められる「社会的構成主義」(視線128回参照)という教育理論に基づき、「ハンズオン」という直接体験型の学びを通して。トゥルースが提供する学びの形は変わりませんが、さらに時代が求める教材とそのカリキュラム開発に全力を注ぎ、邁進していきたいと考えております。本年もよろしくお願いいたします。
人間の定義は技術の進展に応じて変わる。いま必要なのは、
自分自身は何者なのか考えることだ。
― 世界初の完全自律対話型アンドロイドの創造者・石黒浩大阪大学教授
―
トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳