ロボカップ世界大会2012メキシコシティ報告
去る6月18日~24日、メキシコシティで「ロボカップ2012」が開催されました。ジュニアは、6月19日~23日の5日間行われました。参加国数は40ヶ国前後、参加チーム数は全206チームでした。
当アカデミーのレスキューチーム「Amalgam」・「TAR」・「NEUTRINO」と、サッカーチーム「CASTATROPHY」に加え、NPO法人科学技術教育研究会を共に運営している長田先生(エレファントアリー代表)が率いるダンスチーム「INA」、ロボットマスター・オープン講座を担当している奥山先生が茨城で個人的に教えているサッカーチーム「TKB11」の全6チームが遠征ツアーに参加しました。
6月18日に成田を出発し、同日夕刻、14時間の時差があるメキシコ入り。メキシコは雨季に入ったばかりで肌寒く、毎日夕方になるとスコールのため激しい雨が降ります。
1日目の6月19日は緊張のレジストレーションが無事終わると、待ち受けていたのはインタビュー。インタビュー室で1チームずつ、ロボットについての説明を求められます。通訳がつかなかったため苦労したようでしたが、英語のインタビューを自力で何とか乗り切ったようです(もっとも1チームは再インタビューを受けさせられてしまったのですが)。
続く3日間がサッカー、レスキューとも予選。サッカーは「スーパーチーム」形式で行われました。これは、2~3チームで1グループを構成し、他のグループと対戦する団体戦方式です。サッカーAオープン「TKB11」(内村君・川又君)は、初日は連勝したものの、その後なんと全8試合中5試合で同じ相手、しかも個別チーム順位3位となった強豪チームと対戦するという結果になり、残念ながら予選敗退。せっかく世界大会まで来たのですから、もっと多くのチームと対戦できればよかったという思いが残ったかと思います。
サッカーAライトウェイト・プライマリ「CASTATROPHY」(練馬校:本高君・飯田君)は、初日1台の動きがとても悪く連敗。このリーグでは、国内大会では床が黒から白へのグラデーションとなっているグレースケールという紙のシートを使っていたのですが、世界大会では緑色の絨毯(グリーンカーペット)になるので、ロボット自体とプログラムをかなり変えなければなりませんでした。なかなか対応できなかったのかもしれませんが、2日目から気を取り直して粘り強く取り組んで、個別チーム順位は10位でしたが、スーパーチームは決勝進出となり、最終日の決勝トーナメントでは3位に輝きました。
レスキューAプライマリ「Amalgam」(飯田橋校:川端君・畝本君・駒場君)は、昨年、ジャパンオープンで上位成績を残したものの、世界大会出場までは届かなかった3人が結成したチームです。今年は国内で優勝して、堂々の世界大会出場。予選は個別チームでの競技。3人が協力し合い、情報収集・現状分析・戦略の立案と対策など、見事なチームワークを発揮した結果、9回の競技の内7回がパーフェクト。圧倒的な実力を発揮して見事、優勝しました。
レスキューの決勝は、「スーパーチーム」方式で行われます。決勝に進出した個別チームによるくじ引きで組むチームが決まります。組むチームが決まるのも、ルールが発表されるのも競技前日の午後5時半。翌日の午前9時から競技開始です。この短時間の中で組んだチームと話し合って戦略を立て、ロボットを改造し、プログラムを組まなければなりません。
「Amalgam」はドイツのチームと組みました。競技は3回。ほとんどのチームが0点を重ねていく中で、1回目60点、2回目90点、そして3回目ではなんと310点という驚異の得点をマークしました。2台のロボットがまるで生きているかのように連携し協力して動く様子には、見ている私も感動し鳥肌が立つような思いをしました。
その直後、表彰式までの空いている時間に会場近くのフードコートに食事しに行くと、突然フードコート全体から「Amalgam !」コールが始まりました。シャイな日本人男児たちは少し怖気づきましたが、背中を押すと「We are No1 !」とこぶしを上げ、祝福してくれている皆に応えていました。
ジャパンオープン準優勝の「TAR」(飯田橋校:安倍君・寺尾君)は、二人で常に意見交換をしながら、2日間は順調に得点を重ね、2日目ではパーフェクトも出しました。しかし、3日目はとても難易度の高いコースとなり、それに対応しきれなかったことに加え、審判同士の意見の相違から注意を受け、平常心を失ったこともあって、実力を発揮できませんでした。それでも、個別チーム順位は11位で決勝進出。一昨年・昨年と世界の頂点に輝いた先輩の「3T Robot」(亀井君)や「Σ」(持田君)が築いた歴史をしっかりと引き継いでくれたと思います。
レスキューAセカンダリ「NEUTRINO」の清水君は4回目の世界大会。当アカデミーで幼稚園生のときから通っていた名村君というベテランの強力なメンバーと組んでの出場。これまで毎回決勝に進出し7位~8位だったので、今回こそはさらに上位を目指していました。しかし、3日目にパーフェクトを出したものの、被災者救出がなかなかうまくいかず結果は7位、決勝進出。
今回の遠征では、生徒・ご父母の皆様・スタッフの多くが下痢や腹痛、発熱に悩まされました(帰国後食中毒だと判明した人もいます)。また、バスでは一度に3人がスリの被害にあうというハプニングもありました。高地であり気圧も薄いことが影響し、帰国後気胸となって手術した子もいます。皆、大変な思いをした遠征でした。
緊張の5日間を終え、最終日は観光に出かけました。国の始まりを伝える、サボテンに蛇をくわえた鷲がとまっている銅像(国旗に描かれている)、「国立宮殿」のメキシコの歴史を伝える壮大な壁画(ディエゴ・リベラ作)、メキシコのカトリック教会の総本山である「メトロポリタン・カテドラル」、この国の複雑さを象徴する「三文化広場」、「褐色のマリア」などを見学した後、ラテンアメリカ最大の古代遺跡「テオティワカン」の月のピラミッドと太陽のピラミッドに登りました。80年代の金融恐慌以来貧富の差が激しくなり、治安も悪化したメキシコですが、底抜けに明るく、親切で信心深いメキシコ人が経験してきた、その複雑な歴史を垣間見ることができました。
今回、私が最も強く感じたのは、子供たちの逞しさです。参加者が調整するスペース(パドック)は高い壁で覆われていて、私たち大人は様子さえ見られませんでした。その中で、どんなに体調が悪くても決して諦めずに果敢に挑み、自分たちで力を合わせて問題解決し、外国のチームとコミュニケーションを取って友達を作っていたようです。ジュニアパーティーでもメキシコの民族音楽に乗っていろいろな国の子たちと輪になって踊り、とても楽しんでいました。今回のジュニアパーティーは、大会のボランティアをしてくれたメキシコ国立自治大学の学生たちが企画・運営してくれたそうです。
メキシコは、15歳~25歳の年齢層が人口で最も多くの割合を占めているとのこと。ここから新しいメキシコが生まれるのではないでしょうか?そして、この逞しい我が日本の子供たちも、必ずや明日の日本を創ってくれる ― という確信が生まれた遠征でした。
【参考】
サッカー結果:
サッカー結果:
レスキュー結果:
ダンス結果:
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リトル・ダヴィンチ理数教室
連続3日間の夏期キャッチアップ講座開催!
-2学期通常授業から参加することができます!-
「つよい理数脳をつくる!」をモットーにするリトル・ダヴィンチ理数教室では、8月28日(火)~30日(木)の3日間、全校にて『夏期キャッチアップ講座』を開催します。
特に算数では学校進度よりかなり先に進んでいるステップもありますので、2学期から授業に参加しても知識面で困らないように、1学期の算数内容から3講座を抜粋して授業を行います。
また、リトル・ダヴィンチ理数教室の受講を検討するための体験授業として活用なさる方も歓迎します。理数脳を鍛える絶好の機会です。奮ってご参加ください。
==リトル・ダヴィンチ理数教室==
『夏期キャッチアップ講座』開催要項
『夏期キャッチアップ講座』開催要項
■開催日:8月28日(火)~30日(木)
■開催校:トゥルース・アカデミー練馬校、飯田橋校、日吉校
■受講料:3講座8,400円(1講座のみの場合3,150円)
■申込方法:別紙申込書またはホームページより
■申込締切:8月25日(土)
http://www.truth-academy.co.jp/Summer/2012/index.htm
■開催校:トゥルース・アカデミー練馬校、飯田橋校、日吉校
■受講料:3講座8,400円(1講座のみの場合3,150円)
■申込方法:別紙申込書またはホームページより
■申込締切:8月25日(土)
http://www.truth-academy.co.jp/Summer/2012/index.htm
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短期集中強化合宿「ロボットの鉄人2012」
-ここから世界への挑戦が始まる!-
ロボットの鉄人」は、ロボカップジュニア世界大会に出場し、好成績をおさめた経験のある先輩たちと過ごす2泊3日のロボット短期集中強化合宿です。08年から始まり今年で5回目。
メキシコシティ世界大会に出場したAmalgam、TARも「ロボットの鉄人2011」に参加していました。鉄人たちの熱血指導、参加者諸君の熱心な研究のおかげで実績ある合宿となりました。
サッカー、レスキュー、ベーシック(初心者対象)の3コースで参加者を募集します。今年からNPO科学技術教育ネットワーク【NEST】が主催となります。
各チャレンジの鉄人達が、ロボットの構造からプログラムまで昼夜を問わず指導にあたります。昼間に競技会を繰り返し行い、実戦経験を積みながら、調整方法を学び、各自の課題を明確にしていきます。夜間にはテーマ別講座も開講。ジャパンオープン、世界大会で通用する研究姿勢、ロボットの製作方法、調整方法を身につけられる濃密な3日間です。
本気の諸君、集まれ!!