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2010年10月15日金曜日

2010年10月

自作マシン製作講座授業報告
―  オムニホイル搭載!本格的なサッカーマシンに進化!―


世界大会出場を目標に開催しているロボット・マスターオープン講座「最強サッカーロボット『自作マシン製作講座』」では、回を重ねるごとにロボットを進化させています。

拡張性の高いロボットキット「ロボデザイナー」をベースに、部品を購入するために秋葉原ツアーを実施するなどして製作を進めてきました。レゴとは違う製作に、ロボットが歪む、ビスが外れてしまうなど、戸惑う場面も多々ありましたが、その度に修正と改良を繰り返してきました。



陣地を見分けるために必要不可欠な方位センサーの開発では、デジタル値をアナログ値に変換する回路を自作。はんだ付けで火傷をしたり、センサーの値が上手く返ってこないため回路を作り直したりしながらも自作センサーを完成させ、必ず相手の陣地に向くようロボットの姿勢を制御することに成功しました。

9月より開始したStage3では、基盤や赤外線センサーの追加、縦横両方向に回転できる車輪オムニホイルの搭載により、実践的なサッカーマシンへと大きく前進。ジャパンオープンでも活躍できるロボットの原型ができてきました。

  しかし、センサー値の設定が甘かったり、動きが大雑把で自殺点を防げなかったりと課題はまだまだあります。授業回数を重ねる中で、さらに意欲が高まり、根気よく課題に取り組めるようになってきた参加者が、今後どこまでロボットを進化させることができるか楽しみです。
  10月からはレスキューについても、建物2階部分に置かれた被災者を救済するという、2010年ルールで新設された課題を完全攻略するために、「レスキュー2010ルール2F対策講座」を実施いたします。

  ロボカップジュニア2011の大会日程が決定。生徒たちが次の大会ではどのような活躍をみせてくれるか、とても期待されるところです。

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<ロボカップジュニア2011 大会予定>

■3/20(日)~3/21(月祝) 神奈川・西東京ノード大会、東東京ノード大会(東京都立産業技術専門学校)
■3/27(日)関東ブロック大会(群馬大学 桐生キャンパス)

        →ロボット・マスターオープン講座
       http://www.truth-academy.co.jp/RSC08/RMO-Annai.htm



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リトル・ダヴィンチの秋
―データロギングの科学アカデミー! 数量・図形満載の算数アカデミー!―


9月の科学アカデミーではGEMS「海流」を基に、暖流と寒流の交じり合いや風の影響、塩分濃度の違いによる影響、汚染物質の広がり方などの実験を行い、世界の海流図などを用いて環境問題と絡めて学びました。10月からは、1学期に行った「人間データロギング」を発展させ、いよいよ電子機器を用いたデータロギングを行います。光センサーや温度センサー、サウンドセンサーなど用いたゲームを行って、グラフの読み取り方やデータ分析の導入を行った後、データロギングを導入した実験に挑戦します。

算数アカデミーのプレスクール(年中・年長)10月「クリックスでお絵かきをしよう!」では正方形のブロック「クリックス」で様々な形を作り平面図形を見る力を養い、11月GEMS「宝もの箱」では順番を表す数に始まり座標についての学習を行います。エレメンタリⅠ(年中・小1)の10月・11月は、キズネール棒を使用し楽しいゲームを通して2ケタと1ケタのたし算・ひき算の応用を行います。エレメンタリⅡ(小1・小2)では、九九表に潜んでいる規則性の発見やかけ算の応用、わり算の導入をテーマとします。エレメンタリⅢ(小1・小2)では、学習用プログラミングソフト「スクラッチ」を用いて、これまで学んできた平面図形の性質に基づいた図形描画プログラムや一筆書きに挑戦。円の学習に入ります。



※GEMS(Great Explorations in Math and Science):カリフォルニア大学バークレイ校ローレンスホール教育研究所で開発された体験学習法に基づく科学・数学プログラム

       詳しくはこちら  → http://www.truth-academy.co.jp/LVsansu/index.htm



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★トゥルースの視線(第54回)★
ハーバード白熱授業①
-サンデル教授の政治哲学講義「Justice(正義)」-


ご父母の皆様の中にもご覧になった方も多いかと存じます。NHK教育テレビで今年4月4日から6月20日まで放送された『ハーバード白熱教室』(Justice with Michael Sandel)は、これまで門外不出だったハーバードの授業が初めてメディアに公開され、多くの反響を呼び起こしています。

1000人の学生を相手に繰り広げられるマイケル・サンデル教授の政治哲学の講義は、「正義とは何か?」を問うものです。

  学生に難題を投げかけ議論を引き出し、自身の理論を展開するディベート(討論)形式の講義。学生たちに意見を求め、その理由を問うたり、反証を提起してさらにそれをどう思うかを質問したり、反対意見を求めたり。

難解だと思われがちな哲学について、具体的な事例や日常的な問題を提起し、鋭く、深く、しかもウィットに富んだ議論が展開される講義は観る者を魅了し、思わずその講義に中に引きづり込まれてしまいます。そして、テレビ視聴者である私たち自身も真剣に考えさせられていまう迫力を持っているのが、その人気の秘密なのでしょう。

著書『これからの「正義」の話をしよう:いまを生き延びるための哲学』(鬼澤忍 訳、早川書房) も40万部を超えるベストセラーになっています。

例えば、次のような問題が提出されます。

・もしもブレーキのきかない車を運転していて、5人か1人か一方を犠牲にするしかないとしたら、あなたはどちらを選ぶか。

・遭難船で全員が死を待つより、多数が生き延びるために1人を殺して食べることは道徳的に許容できるか。

・アメリカは1割の富裕層が富の7割を所有し、富の分配が非常に不平等な社会、これは公正か、不公正か?

  この人気を得て8月25日、東大安田講堂で「ハーバード白熱教室@東京大学」が行われ、その講義が9/26ETV特集で放映されました。東大生と一般公募から抽選で選ばれた1000人が参加。政治家や学校の先生、団体役員、看護士、主婦と多彩な人々が集まりました。

  第1部は「イチローの年俸は高すぎる?」。イチロー・オバマ大統領・日本人の教師、三者の年俸を比較しながら、富の分配の公正について。果たして、イチローはオバマ大統領の42倍もの年俸に値するのだろうか。さらには東大への入学資格をお金で買うことの是非についの議論。

  第2部は「戦争責任を議論する」。現在の世代は、過去の世代が犯した過ちを償う義務があるのだろうか。日本・アメリカそれぞれの戦争責任を今の世代が負うべきかどうかの議論。

  これらを通して、「正義とは何か?」という問いに対する伝統的な3つの考え方 ―

①最大多数の最大幸福(ベンサム) 
②人間の尊厳に価値を置くこと(カント) 
③美徳と共通善を育むこと(アリストテレス) ―

を学生との議論の中で検証しようという試みを行いました。

サンデル教授の一つ一つの質問は嫌が応にも私たち自身の生き方や人生観をあぶり出します。そして、最後にこう結びます。

「哲学は不可能に見える。私の答えは、哲学はある意味不可能だが、決して避けられないものだ、ということだ。我々は毎日その問いに対する答えを生きている。哲学者の問いだ」
<参考>
http://www.nhk.or.jp/harvard/ (NHKのサイト)http://www.justiceharvard.org/ (ハーバード大学のサイト)