トゥルース・アカデミー2010夏
― 進化するRISEの活動に注目! ―
記録的な暑さに見舞われた2010年夏―地球環境について考えないわけにはいかない、忘れられない夏休みになりました。
酷暑の中、当アカデミーでは例年通り、様々な活動を実施。新しい試みとしては、海を科学する「オーシャンプロジェクト」をRISE科学教育研究会で立ち上げました。
RISEの活動は今後もますます進化していきます。今夏の活動をいくつかご紹介します。
夏期特別授業2010では、全12種のオリジナルのカリキュラムを行いました。
人気の工作講座は、幼稚園生もできるクラフト昆虫制作や、はんだを使った電子工作等を実施。手の巧緻性を育む活動は子どもたちの成長に必須ですが、その時間は日常で減りつつあります。その楽しさと達成感を、この機会に心から味わってもらえたでしょうか?失敗や小さな火傷も、いい経験になるでしょう。
「てんとう虫ロボット」製作は今年初の新講座。パソコンを使わないでプログラムできる小さなロボットです。プログラムの意味を考えるのに最適な教材でした。完成したロボットで、相撲やボーリングなどの競技を行い、大いに盛り上がりました。
大人気のGEMS「シャボン玉フェスティバル」を幼稚園生対象に開講。準備が大変なプロジェクトですが、感性が豊かな今だからこそ体験してもらいたい貴重な科学講座です。シャボン玉の中から子どもたちはどんな景色が見えたのでしょう?その瞬間の“見る”集中力、感じようとする姿勢を大切にして欲しいですね。
ブロック講座として初めて採用した環境教育プログラム「プロジェクトワイルド」の「昔と今」をオリジナルにアレンジして実施しました。「自然は大切だ」と思うだけでなく、もう一歩踏み込み、「今後私達はどうしていくべきか?」を実践的に考えるきっかけとして、都市計画をテーマにブロックで具体的に考える活動を行いました。
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サマーチャレンジ2010報告
― ユニーク&斬新なロボットが続々登場! ―
8/29(日)、都立産業技術高等専門学校で「サマーチャレンジ2010」を開催しました。今年は33チーム104名のエントリーがありました。
Kokohore!-Wanan versionⅡ2年目となる今年は,ロボカップジュニア・レスキューチャレンジの新ルールに対応できるよう、ミッション5の内容を、昨年のパルス式赤外線ボールから150gの重りが入った缶に変更しました。
ミッション1のポチロボットは、布や工作用紙、紙ねんどなどでポチらしく装飾されたものが多く、見学者を大いに楽しませてくれました。
赤外線ボールを城砦外に運び出すミッション4では、ボールを転がして運び出す方法ではなく、ボールをレールに乗せて持ち上げ、壁を超えて運び出すという斬新な戦略を用いたロボットが優勝。
ミッション5では、缶を掴んだ後、ロボットの体全体を徐々に伸ばし、高さを上げて缶を持ち上げるという斬新なロボットが優勝しました。
プレゼンテーション賞はロボカップジュニア上位大会出場経験者が主に受賞。ロボット研究の方法やプレゼンテーションの仕方を下級生に示してくれました。
上位入賞者には、都立産業技術高等専門学校様より「高専ロボコン観戦チケット」が副賞として授与されました。受け取った受賞者達は憧れの高専ロボットを観戦できるととても喜んでいました。
斬新かつ確実で豊かなアイデアが入り交った、充実した今大会でした。
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海で、山で、科学した!
― RISE 夏の課外活動 ―
RISE科学教育研究会では、「子どもゆめ基金(独立行政法人国立青少年教育振興機構)助成活動」として、7月27日・28日に真鶴(神奈川県)で今年初の企画「オーシャン・プロジェクト」(1泊2日)を、8月12日~14日に高尾(八王子市)で6回目となる「サイエンス・キャンプ」(2泊3日)を開催しました。
「オーシャン・プロジェクト」には小3~中1の24名が参加。
琴ヶ浜海岸でのシュノーケリングで海中観察に始まり、水圧や水中の色の実験、海水を乾燥させて取った塩と食卓塩の結晶の比較、海中プランクトンの観察に加え、地面・地面から1mの高さ、水面、海中の4地点での温度変化のデータロギング、(風が強い日でうまくいきませんでしたが)風向のデータをロギングして海風・陸風を捕らえる実験なども行いました。
2日目午前には、三ツ石海岸で真鶴町立「海の学校」の渡部孟先生による磯観察会。子供たちが採集した様々な生物を、カニ、貝、魚、ウミウシ、ナマコなどの種類別にそれぞれその体の構造や生態などを教えて頂きました。また、町立「遠藤貝類博物館」(保有4,500種50,000点のうち約1,800種5,000点を常設展示)で短い時間でしたが、いろいろな解説をして下さいました。
宿泊した「ペンションしおさい」は湯河原から天然温泉を引き、食事も刺身の盛り合わせ、カニ、アワビのつぼ焼き、ローストビーフと朝夕とも豪華なのに驚きました。オーナーの青木さんが全面協力をして下さったため活動が大変しやすく、真鶴の人々の温かさを感じました。
「サイエンス・キャンプ」には小4~中1の32名が参加。雨が降ったり止んだりの天候の中行われました。
初日の午前中、高尾山口から山頂を目指し4ルートに分かれての登山。光センサーと温度センサーで1分おきにデータを取りながらの登山です。
翌日そのデータを分析。データから周囲の様子が分かったり、山頂に着いたことが読み取れたり、はたまた計測器を首からぶら下げていた先生がトイレに行ったのが記録されていたり。
他にも、光源の種類が異なる光で虫を集めるライトトラップ、ビオトープの池のプランクトン観察、環境教育ワイルド・プロジェクトのゲーム、ロボットを動かして得た足跡のデータから動物を特定するシミュレーションゲーム、光の出すデータを読み取って行う暗号ゲーム、昆虫採集と観察、出汁つくりや果物のビタミンCテストなどの食育講座、キャンプファイヤ、シェアリングアース協会の専門家による高尾山の生き物観察など、盛りだくさんの内容でした。
RISE科学教育研究会は、ロボット教育の先駆けてとして2003年よりカリキュラム開発や講座、ロボットコンテストの実施、ロボカップジュニアの全面的な運営協力を行っていますが、一方でセンサーなどの電子機器を用いてデータを収集し、その分析や解析を行うデータロギング活動を行っています。
これは、OECDが実施する国際学習到達度調査(PISA)が世界の子供たちに求めている「科学的リテラシー」「数学的リテラシー」を育成するには極めて有効であり、(日本ではあまり行われていませんが)世界の教育現場で広く採用している教育方法です。
参加した子供たちは、グラフ化したデータから様々事実を読み取ったり類推したりしながら生きた現実を再構築していく楽しさ、隠された法則を発見する喜びを味わえたではないかと思います。