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2024年12月25日水曜日

ロボカップジュニア2025東京ノード大会

 ~ 明暗を分けたアクシデント ~

11/16(土)・17(日)東京都立産業技術高等専門学校品川キャンパスにて、「ロボカップジュニア2025東京ノード大会」が神奈川・西東京ノード大会と合同で開催されました。前号でご紹介したように、競技の細分化により、ノード大会(予選競技会)において関東ブロック大会への選抜が必要な競技が少なくなったため、ワールドクラス(WC)のレスキューラインとチャレンジクラス(CC)のレスキューラインエントリーの2競技が行われました。Truth Academyからは、CCエントリーに参加するチームがおらず、WCラインに3チームが参加しました。

WCラインでは、2回競技を行い、その合計点で順位が決まります。今回の大会では、被災者を救出できたチームが全体で1チームだけで、ライントレースをどれだけ競技進行の停止なしで行い、チェックポイントタイル到達によるタイル得点を得られたかかが分かれ目だったようです。

WCライン2年目の「蒲焼き」は、1回目2回目の競技ともに練習と同様の安定したライントレースを見せ、関東ブロック大会進出を決めました。救助ゾーンでの得点は取れなかったものの参加チーム中唯一救助ゾーンを自力で出口まで行くことができました。得点が困難な救助ゾーンで、いかに得点するかが今後の課題になりそうです。「continue」は、マインドストームEV3と自作のハイブリッド機で挑みましたが、調整中に自作回路が故障。1回目はコースを時間内に走破できず得点が伸び悩みました。2回目の競技では、競技中に障害物に引っかかったセンサーが外れてしまうトラブルが発生。リタイアもあり得る状況でしたが、懸命にその後の得点要素をクリアして粘りを見せ、辛くも関東ブロック大会進出。「FujiRuri」は、1回目の競技中にEV3と外部基板をつなぐケーブルが断線してしまい、2回目は残念ながらあえなくリタイア。今年1年、可動式の超音波センサーや自作のラインセンサーの作成など新しい試みをたくさん取り組んできましたが結果に思うように繋がらず、関東ブロック大会進出を逃し、悔し涙をのみました。やはり、本番でのアクシデントをいかに回避できるように準備をするか?起こりうるアクシデントを事前に想定して対応できるように準備しておくか? ― 大人でもなかなか難しいことですが、そのような力も育ってもらえればと願っています。

また、サッカーの練習競技会も行われました。WCライトウェイト「TOM」はTruth・高専合同チームです。高専のメンバーのロボットは初出場ということもありうまく動きませんでしたが、出場経験のあるTruth多賀君のロボットがフォローでき、3勝1敗と好調でした。合同チームを組む特殊な状況ですが、高専側メンバーと積極的にコミュニケーションをとってロボット同士の連携ができるように進化できれば、ブロック以降でも活躍できそうです。CCライトウェイトユース「ツチノコキッカーズ」は1勝1敗2分。試合前に回路が故障するなどトラブルありましたが、試合前に無事に自力で修理成功。しかしその影響で調整時間が短くなり普段の実力はあまり発揮出来なかった様子でした。関東ブロックで勝ち抜くには、「敵陣を向き続ける」「白線からでない」など、ロボットの基礎的な動きについて、確実にできるように大会会場での細かな調整が必要なようです。CCサッカーエントリー「チーム・ノーブル」は、昨年度のジャパンオープンにおいて日本リーグOnStageで優勝したチームです。ロボカップジュニアのサッカーは、2台vs2台で対戦しますが、4人でチームを結成しています。結果は3勝1敗とまずまずの成績。この調子で実力を伸ばしてほしいものです。

関東ブロック大会は、年明け1/12(日)・13(月祝)に行われます。サッカー、レスキュー、OnStageの各競技にTruthチームが参加しますので、ぜひ応援の程よろしくお願いいたします。
continue(レスキューライン)
チーム・ノーブル(サッカーエントリー)
蒲焼き(レスキューライン)
FujiRuri
TOM(サッカーライトウェイト)
チノコキッカーズ(サッカーライトウェイトユース)

2024年12月22日日曜日

加賀ロボレーブ国際大会2024

~目まぐるしく色々な体験をした3日間~

 11/15(金)~17(日)石川県加賀市で「加賀ロボレーブ国際大会2024」が開催されました。例年加賀市スポーツセンターで行われていましたが、今年は改装工事のため「みやびの宿 加賀百万石」という、とても大きなホテルで行われました。コンベンションホールや食事処、館内の広場などを利用したらしく、各競技の場所が異ななる分散開催となりました。ラウンジや広大な日本庭園も自由に利用でき、競技以外の時間はとても快適に過ごすことができました。


 今回の大会には、小学生78チーム・中学生62チーム・高校生24チームの計164チームが参加しました。大半は地元の小中高校のチームと海外からのチームが占めています。海外からは、中国・台湾・エジプト・メキシコ・チリなどのチームが参加していました。

NEST(NPO法人科学技術教育ネットワーク)からは「A.K.Bot」と「ウィルキッズLP」2チームが参加しました。「A.K.Bot」はTruth Academyの小4・5生2名のチームです。伊藤君が「a-MAZE-ing(アメージング)」と「a-MAZE-ing jyro(アメージング・ジャイロ:以下ジャイロ)」に、白石君が「SumoBot(スモーボット)」に参加しました。

アメージングとジャイロは、板で作られた迷路を完走する競技ですが、前者はセンサーの使用不可、後者はジャイロセンサーの使用可の競技になります。どちらも同じ会場でしたが、両競技に参加した112チームに対して狭く、フィールドの数も少ない(ジャイロは競技本番用が1つ)ため、競技会場は大混雑。各競技用フィールドには長蛇の列ができ、最終日には1時間に1~2回しか競技ができない状態になってしまいました。そのため、2競技に参加していた伊藤君は十分な調整と競技ができず、とても苦しかったと思います。アメージングのロボットはギア比を上げてスピードを追求したのですが、床と摩擦に苦しみ、29位。ジャイロは思ったよりきつい傾斜にうまく合わせられず、19位。残念ながら決勝進出とはなりませんでした。

昨年までスモーボットは、相手チームを自由に選んで何度でも試合ができたのですが、今年は4チームずつで予選リーグを行って、全体順位の上位が決勝進出するという方式に代わりました。白石君の対戦相手は、台湾のチームと加賀の地元チーム、それに、なんと、同じNESTチームでとても仲良くなった「ウィルキッズLP」になっていました。取り組み相手は決まっている訳ではなく、全体で10回以上の対戦となるよう同じチームと最低3回ずつは対戦し、自分たちの合意で相手を決める、というものでした。白石君は、勝ち負けを繰り返しつつも勝ち星を着実に積み重ねていました。ところが、台湾チームのコーチが大声で長々と審判に抗議をしたり、試合のやり直しがあったりして、審判も翻弄され、競技時間もかなり浪費してしまいました。ロボカップジュニアでしたら、このコーチは退場、チームは失格になっていたと思いますが、ロボコンによって文化の違いがあるのが事実です。結果、9位。8位までの決勝進出に惜しくも届きませんでした。初めての大きなロボコンに参加した白石君は、よく状況が分からないまま終わってしまい、とても悔しい思いをしました。伊藤君と一緒に最終日はラウンジに合ったピアノを2時間にわたって弾きました。とても上手なので海外の子や小さい子が集まってきて、皆で楽しみました。

なかなか望んでいた結果は得られなかったと思いますが、福井駅の恐竜のオブジェを見に行ったり、皆で楽しく食事したりしました。2日目の交流会では加賀市による和太鼓や獅子舞のパフォーマンスもあり、そして何よりも海外のチームとおやつやお土産を交換して仲良くコミュニケーションが取れたりしたことは特別な体験になったと思います。特にメキシコのチームとは盛り上がりました。競技で得たもの、競技の外で得たものは様々だと思います。どの経験も自分の肥やしにして、2人が大きく成長し、活躍してくれることを期待しています。二人の頑張りに拍手をお願いします。
メキシコチームと

アメリカ代表チームと

アメージングに出場したA.K.bot伊藤君

Sumobotに出場したA.K.Bot白石君


2024年4月25日木曜日

ロボカップジュニア・ジャパンオープン2024名古屋報告

~ Truthチーム、大活躍! ~

3/22(金)~24(日)、名古屋市国際展示場(ポートメッセなごや)第3展示場にて開催された「ロボカップジュニア・ジャパンオープン2024名古屋」に、NEST13チーム(Truth5チーム含む)が遠征ツアーを組んで参加しました。186チーム(海外4含む)、選手数459名(海外14含む)、スタッフ260名、メンターのべ186名、同伴者188名が参加した大会になりました。Truthチームは4チーム計5枚の賞状を手にして帰京しました。

日本リーグ(NL)サッカー「T・Kザムライ」は、初戦を2-0と幸先の良いスタートを切るも、2戦目ではスピードが速く相性の悪い相手と対戦、調整不足もあり0-3で敗北。しかし、そこからプログラムの調整を重ね改善していき、3〜6戦目では3勝1分と善戦。特に6戦目ではこれまで負けなしの強豪チーム(総合順位第2位)を打ち負かす活躍を見せました。惜しくも競技順位での表彰台は逃しましたが、勝ち点では2位・3位のチームに並び、24チーム中4位の結果を残すことができました。また、優秀プレゼンテーション賞を受賞。

NLレスキュー・メイズは、3回の競技を行い、その合計点で順位付けがされます。関東ブロック大会優勝の「Pivotさん」がジャパンでも優勝。全体を通して帰還のボーナスや全発見には至らなかったものの安定した走行性能と高得点の被災者を狙っての競技進行の停止などに見られる競技理解が優勝につながったようです。関東2位「Messiah」は、優秀プレゼンテーション賞を受賞。練習フィールドでは安定した走行ができていたものの会場での調整に難航。Round1と3で一回目の競技進行の停止時に 超音波センサーを回して距離を測るシステムの初期化のプログラムが上手く動かずリタイアしてしまったため得点が伸びず、8位。関東3位「Equator」は、全体を通じて競技進行の停止回数は少なく安定して動作できていたものの、移動に時間がかかるため競技進行の停止によるロス時間が響いた結果、得点に結び付けなかった場面が多くみられ、惜しくも4位。
日本リーグサッカー「T・Kザムライ」競技中
日本リーグサッカー「T・Kザムライ」プレゼン賞
日本リーグレスキューメイズ調整中「Equator」「Pivotさん」「Messiah」
日本リーグレスキューメイズ「Pivotさん」優勝
日本リーグレスキューメイズ「Messiah」プレゼン賞
平安時代の蹴鞠をテーマにした、NL OnStage関東優勝の「チーム・ノーブル」は、毬を発見するカメラとLEDテープを使った光る鞠靴を加えてバージョンアップを図って臨みました。審査員によるインタビューの得点は41/50点で同点1位。パフォーマンスは、リハーサルでは完璧。しかし、本番ではうまくいっていない箇所があり、減点覚悟でリスタートするか、人の手でロボットの位置を修正するか、ハラハラ見ていましたが、そのまま演技を続行。結果はなんと、パフォーマンスの得点が41.67/50点で単独トップ!合計得点82.67/100点で堂々の優勝です。加えて、スポンサー賞「CKD賞」も受賞。

日本リーグ(NL)はジャパンオープンを頂点とするリーグですが、今回出場した全員が優勝を始めとする上位成績を残し、大活躍となりました。今回特に感心ことは、どのチームも(レスキューメイズは1人チームですが出場した3チームの)メンバーたちがとても仲が良く、中学生を中心にスケジュール管理や行動管理が的確にできていたことです。楽しみながら自己管理もしっかり行い、そしてそれが結果につながったのだと思います。

なお、全競技の結果と全チームのプレゼンテーションポスターは以下から見られます。
>https://www.robocupjunior.jp/2024nagoya_results.html
優秀なポスターを見て、どこが優れているのかを考えてみましょう。また、今後ロボカップジュニアの競技に参加する際に、参加希望競技のポスターを参考に、戦略やロボット製作、プログラミングのヒントが得られるかと思います。また新たな挑戦が始まります。ロボットサイエンス在籍生全員が高い目標を掲げ、貪欲な向上心と研究心をもって、日々の活動に取り組んでくれることを期待しています。
日本リーグOnStage「チーム・ノーブル」パフォーマンス
日本リーグOnStage「チーム・ノーブル」優勝