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2018年2月15日木曜日

トゥルースの視線【第126回】

第13回競基弘賞授賞式に出席して
~ 若きロボット研究者の遺志をつないでいく 〜


 去る1/16(火)神戸市ふたば学舎(神戸市立地域人材支援センター)にて、「夢は見るものではなく、実現するものだ」という、NPO法人国際レスキューシステム研究機構(IRS)会長・田所諭氏(東北大学教授)の力強い言葉で、「第13回競基弘(きそい・もとひろ)賞」授賞式は始まりました。

「ふたば学舎」は、1929年二葉尋常小学校としてその歴史をスタートさせ、1995年阪神大震災の際は構内に避難所を設置、2008年に小学校としての歴史に幕を閉じ、現在は「ふたば学舎」として市民の地域活動の拠点となっています。周辺被災地の記憶を中心に、阪神・淡路大震災の記憶と教訓を次世代に伝えるための震災体験学習なども実施しています。その1階に競基弘賞を主催するNPO法人国際レスキューシステム研究機構(略称IRS/会長:田所諭 東北大学教授、副会長: 松野文俊 京都大学教授)が事務局を置いています。

竸基弘賞は、1995年1月17日に阪神淡路大震災で倒壊したアパートの下敷きになり23歳の若さでなくなった、当時神戸大学大学院の博士前期課程1年生であった竸基弘氏にちなんで、レスキューシステムの研究開発に顕著な貢献のあった原則として40歳未満の若手の研究者、技術者を表彰し、研究開発を奨励することを目的とした賞です。この授賞式には、競基弘氏のご母堂、叔父様も出席なさり、当時競基弘氏を指導していたIRS副会長・松野文俊氏(京都大学教授)から震災当日の様子やできごと、訃報の知らせ、遺体発見の状況、葬儀の様子など、身につまされるような当事者の実体験が淡々と静かな言葉で語られました。


今回授賞式に参加したのは、昨年3月ロボカップジュニア・ジャパンオープン中津川大会で、レスキューLineのTruthチーム「Integrated Circuit(インテグレーテッド・サーキット)」(金廣理央・西澤英志・矢頭華蓮)が、「第十三回競基弘賞奨励賞・ロボカップジュニアIRS賞」を受賞したためです。平日なので3人とも出席できず、指導してきた講師の持田峻佑、メンターの畝本涼も参加できなかったので、私が代理出席した次第です。ロボカップジュニアIRS賞の受賞理由は、「周辺環境をより正確に把握するためのセンシングをLEGOとArduinoと異なるシステムを組み合わせて実現すると共に、構造的にも、直進安定性、全体の重量バランス、コンパクトなパッケージを両立させる設計に取り組んでいる。一方、被災者救済に結束バンドを使用するなど、アナログ/デジタルとの融合も視野にいれた工夫も取り入れており、システム全体として、シンプルでかつ、高い次元でのバランス取りを目指した設計に挑戦している取り組みを高く評価した」というものです。栄誉ある賞をいただいて、本人たちも指導した講師たちも光栄に感じています。奨励賞は、「レスキューロボットコンテスト奨励賞」に近畿大学ロボット研究会『レスキューHOT君』、「レスキュー工学奨励賞」には東北大学大学院の藤田政弘氏『房状ジャミング膜グリッパ機構』が受賞しました。


大賞である「第13回競基弘学術業績賞」は、橋本健二氏(早稲田大学高等研究所准教授)の『多様な移動方式が可能な災害対応脚型ロボットに関する研究』に贈られました。授与式の後、受賞記念講演がありましたが、その最後に研究に協力してくれた方々への謝辞があり、映し出されたプレゼンには、なんどTruth講師の名村圭佑の名前が!?幼稚園の年中から通い、ロボカップジュニアのジャパンオープンや世界大会にも出場、Truthで後輩指導ながらモンゴルの高専にもロボットを教えに行った名村君の名前が!レゴが好きで、ロボットが好きで、生徒として講師として18年間Truthに通っていた名村君が、研究室は大変だと言っていたものの、このような意義ある研究に携わっていることを知り、心より嬉しく感じました。

今回の「Integrated Circuit」のロボット開発が栄誉ある賞に輝き、先輩の名村君が最前線のロボット開発に携わっていることを考えると、やはりTruthにはロボット教育の歴史と実績、受け継がれる伝統があることを改めて実感し、万感の思いで帰京の途に就きました。

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