>

2023年12月25日月曜日

ロボカップジュニア2023東東京&神奈川西東京ノード大会報告

 ~ 鍵を握るのは「現場の調整力」 ~

去る11/18(土)・19(日)、東京都立産業技術高等専門学校品川キャンパスにて「ロボカップジュニア2023東東京&神奈川西東京ノード大会」が開催されました。今回の大会では、関東ブロック大会推薦に必要な選抜が行われた競技は、ワールドリーグ(WL)と日本リーグ(NL)のレスキュー・ライン、NLサッカー・ビギナーズの3種目となりました。それぞれ、19チーム中8チーム、27チーム中11チーム、24チーム中15チームが関東ブロック大会に推薦される結果となりました。

 WLレスキュー・ラインでは、チーム「改造乱麿」は経験豊富なメンバーで結成されたチームで、レゴマインドストームEV3とArduino(アルドゥイーノ)という基板を連携させながら制御することに挑戦。果敢な技術的な挑戦を試みたものの結実させることができず、残念ながら敗退。本番ではロボットが思い通り動いてくれませんでしたが、この活動から多くのことを学べたことは良かったのではないでしょうか?「蒲焼き」は、初めてPython(パイソン)という言語でプログラミングを書くメンバーを、先輩が面倒を看ながら臨んだチーム。お互い忙しく、なかなか二人のコミュニケーションがうまくいかない部分もあり、ロボットがあまり進化できずに臨んだ競技1回目はほとんどクリアできず、急遽プログラムを修正した2回目は本人たちが満足できる状態ではありませんでしたが、それなりに動けました。結果、10位。上位チームが辞退するなどといったことがあり、関東ブロック大会に出場できることになりました。関東大会では自分たちが満足できる成果を出してくれることを期待しています。

 NLレスキュー・ラインの「YK」は2回の競技とも、動きは悪くなく、1回目は被災者の発見もあと1人を残すのみというところまで行きました。ただ、競技進行の停止が少し多かった気がします。そのため、取れる得点を落としてしまったのが残念です。関東大会では、より精度を上げて競技進行の停止をしなくて済むように万全の準備を行って臨んでもらいたいものです。

 NLサッカー・ビギナーズでは、「丈輝莞」は活動時や大会当日もメンバー全員が揃うことができず、思うようなチームメーキングができずに臨むことになりました。当日も電池が切れてしまうなど様々な不具合が出て、3連敗で敗退。「T・Kザムライ」は、1回戦はボールを探すセンサーのしきい値調整が上手くできていなかったため敗戦。2・3回戦は、フィールドのコーナーからドリブラーでボールを引きつけ、後退してから相手ゴールにシュートするなど華麗な動きを見せたものの、サイドが逆になると途端に想定外の動きをし始めました。おそらく床の下の電線による磁気の乱れも原因の一つだと思われます。しかし、2戦とも勝利し、関東大会出場を決めました。関東大会も同じ会場で行うため、正常に動く時間帯でいかに多くの得点を得られるかを考えて改良してもらいたいと思います。

 今回の大会を見ていて思ったことは、やはり「現場での調整力」です。普段の教室の環境と大会当日の環境は当然異なるため、その会場の、そのフィールドに適合するように、限られた時間ではありますが、徹底して調整できるかどうかが結果の勝敗を分けてしまいます。このことを肝に銘じて次の大会に臨むように期待します。

 年明け1/7(日)・8(月祝)に、ジャパンオープンへの選抜を行う関東ブロック大会では、上記3競技の他、WLとNLのレスキューメイズ、WLサッカー・ライトウェイト、WLとNLのOnStageと、全8競技が行われます。見学自由ですので、ぜひ実際のロボットや競技をご覧になり、Truthチームを応援してくださるよう、お願いいたします。
WLレスキューライン「蒲焼き」
WLレスキューライン「改造乱磨」
NLサッカーエントリ「丈輝莞」
NLサッカーエントリ「T・Kザムライ」
NLレスキューライン「YK」

2023年11月25日土曜日

加賀ロボレーブ国際大会2023報告

 ~ 海外チームが多数出場、4年ぶりの盛り上がり ~

去る11/3(金祝)~5(日)、加賀市スポーツセンター(石川県)にて、「加賀ロボレーブ国際大会2023」が開催されました。4年ぶりのフルスペック開催で、新たにa-MAZE-ing gyro(アメージング・ジャイロ)という競技を加え、全7競技が行われました。参加チーム数は171チーム、参加人数500名近く。その内台湾や中国、シンガポールからの海外チームが90チームを占めました。また、地元加賀市の小中高校生チームも学校単位で多数参加。Truthからは、チーム「KI²(ケーアイツー)」の3名が小学生部門に参加しました。

 この大会は、顧問の加賀市長が中心となり、加賀市教育委員会教育長が組織員会の会長を務めており、スタッフも加賀市役所の方々が多く、加賀市が一丸となって行っている大きな教育イベントです。開会式では和太鼓や獅子舞など地元の郷土演芸で出迎えてくれました。一方、毎年大会に訪れていたRoboRAVEの創始者で国際代表のRuss Fisher-lvesが亡くなったという悲しい知らせもありました。国際大会らしく、会場のアナウンスも日本語、英語、中国語の3か国語で行われ、開閉会式では、発言者の話している内容をAIが同時通訳した各国語の文章がプロジェクターに瞬時に流れるように映し出されていました。技術の進化を感じたのは、得点と順位がリアルタイムにWEBで確認できるシステムを導入したことです。

 11/3は受付を済ませるとロボットの調整。11/4終日と11/5午前が予選、11/5午後が決勝というスケジュールです。他のロボコンとは異なり、フィールドが空いていれば練習はいくらでもでき、自分から審判に競技を行うので記録してほしいと申し出る方式です。競技も種目によって回数が決められ、高い成績の合計得点で競います。

決められたコースを走破するa-MAZE-ingに参加した伊藤君(小4)は、自分のロボットの能力で出せる最高のパフォーマンスを続け、全体13位で日本チームでは4位の成績を収めました。空き時間は2人のメンバーを気持ちよくフォローしてくれていました。競技では、電池の残量によるロボットの動きの微妙な違いを感じたようです。黒線で囲まれた土俵で相撲を行うSumoBotに参加した小泉君(小4)は、金属で覆われた機体で素早く動く台湾チームのロボットにあっけなく敗れ、悔しい思いをして機体の改造を何度も繰り返しました。やっと思い通りの機体になったのが、なんと予選終了の1時間半前。最後に何とか試合に出場でき、2連勝からスタート。全体順位16位、日本チームで4位となりました。黒線のラインをたどり、120個のピンポン玉を決められた箱に入れるLine Followingに出場した猪飼君(小5)は、想定していた以上にラインのコースが難しく、カラーセンサーの幅やセンサーが取得した数値に基づいた設定、電池の残量による違いなど、終始微妙な調整に取り組みました。その甲斐があって8回の競技の内5回が満点で合計得点2556点。全体15位でしたが、1位2600点が14チームなので、あと34点で1位に入れることができたようです。しかし、日本チームでは堂々の1位でした。
 
 2日目に交流会が行われ、言葉はなかなか通じませんが、海外チームとも名刺やお土産を交換したり、ホテルが一緒だった台湾のチームとも交流したりすることができました。JAXAの人から宇宙やロケットについての話も聞くことができました。緊張や不安、落胆や喜び、楽しさなど、いろいろな思いをした濃密な3日間でした。仲間との協力する大切さも学んでくれたと思います。この強烈で貴重な経験は、これからの人生できっと役立ってくれると確信しています。さらなる成長を祈っています。
KI+RoboRAVE代表と
アメージング
スモーボット
ラインフォロイング
台南チームと交流
全体集合写真

2023年4月25日火曜日

ロボカップジュニア・ジャパンオープン2023名古屋報告

 ~ 4年ぶり、フルスペックの対面での開催  ~

ジャパンオープン23名古屋NESTツアー
去る3/24(金)~26(日)ポートメッセなごやで、ロボカップジュニア・ジャパンオープン2023名古屋が開催されました。この会場は2017年ロボカップ世界大会が行われた会場です。名古屋市は21年からの3年間開催を予定していましたが、コロナ禍の2年間開催することができず、やっと開催することができました。昨年はボランティアによる運営で「けいはんな」で急遽開催しましたが、セレモニーもなく、淡々と試合をこなした大会でした。2020年はオンライン開催でしたが、1つの会場で全競技が行われるフルスペックの大会は実に4年ぶりです。193チーム477名が一堂に会し、各競技とも熱戦が繰り広げられ、開会式では河村たかし名古屋市長の激励もありました。
Truthからは、6チーム12名が参加。例年通り、NPO法人科学技術教育ネットワーク(NEST)で遠征ツアーを組んで参戦しました。選手17チーム39名、スタッフ10名、保護者10名、総勢59名のツアーになりました。初日はロボットの調整日、残り2日間が競技に当てられました。
OnStageNL出港!HOKORI丸_河村名古屋市長が見学

サッカーでは、日本リーグが6試合、ライトウェイト9試合、オープン7試合を予定していましたが、ライトウェイトの2試合ができず7試合となりました。サッカーではスイス式トーナメント方式を採用しています。これは、第1試合で勝った者同士、負けたもの同士を組ませて第2試合を行い、以下同様に対戦相手を決めていく方式です。メリットは、同じ対戦は一度のみ実施する、その時点で成績ができるだけ近い者同士が対戦するようにする、ということにあるそうです。ライトウェイトの第7試合の組み合わせがプログラムで算出できず、手作業で行ったため試合数が減ったとのこと。「SAS」はメンバー2人の内1人が急遽参加できなくなったため、残りの一人で2台のロボットを調整し操作して挑みました。欠席したメンバーのロボットが当初動かず敗戦を重ねましたが、最後は3連続勝利。あと2試合できればもっと順位を上げられたかもしれません。一人で孤軍奮闘し、本当によく頑張りました。
SoccerWLlinghtweight_SAS

レスキューは、3回競技を行い、その合計点で順位が決まります。今年初競技となったメイズ・エントリーの「メテオ」は、第2試合終了時に3位でしたが、最終競技で逆転し3位と僅差で2位に。ライン・エントリーは、上位チームと下位チームの2極分化が見られ、2試合終了時には上位数チームが僅差で争っている状態でした。その中で「HT」は、競技進行の停止が参加チーム中最も少なかったのですが、発見した被災者の数の差で、1位と僅差で惜しくも2位に。「輝-EV3」は、第2試合終了時9位でしたが、最終日は丁寧に調整して6位まで順位を上げました。
RescueMazeNL_メテオ
メテオ準優勝
RescueLineNL_HT
HT準優勝
RescueLineNL_輝-EV3

OnStageは、審査員によるインタビュー得点とステージ上のパフォーマンス得点で順位が決まります。「Back To The Summer」は、パフォーマンスでいくつかのミスがあり十分な演技を見せられませんでしたが、インタビューでは自分たちの取り組みを審査員にきちんと伝えることができて1位だったため、見事優勝。ポスター審査により、優秀プレゼンテーション賞も受賞しました。「出港!HOKORI丸」のパフォーマンスはほぼ完璧にできていたのですが、ちょっとしたミスが気になったらしく、制限時間があまりない中でリスタートをしたことが大きな失点を招いてしまいました。しかし、技術力はワールドリーグでも通用すると高く評価され、スポンサー賞が授与されました。

 生徒たちの作文には、いろいろな場面を想定した準備をもっとすべきだったこと、チームワークが大切なこと、そして、他のチームとの交流や他競技からいろいろなことを学んだことなどが書かれています。ジャパンオープンという限られた人にしか与えられない、貴重な学習の機会で得たものを、今後の活動に活かしてくれることを心より期待しています。皆、よく頑張りました。
OnstageNL出港!HOKORI丸_パフォーマンス
OnStageNLBackToTheSummer_パフォーマンス
OnStageNL_BackToTheSummer_インタビュー
出港!HOKORI丸「CKD賞」
BackToTheSummer_OnStageNL優勝+ベストプレゼン賞

2023年1月25日水曜日

ロボカップジュニア2023関東ブロック大会報告

 ~ OnStage チーム、 トゥルース1 ・ 2フィニッシュ!受賞~

1/8(日)・9(月祝)の2日間、ロボカップジュニア2023関東ブロック大会が、東京都立産業技術高等専門学校品川キャンパスで行われ、東東京・神奈川西東京・千葉の各ノードから選抜された75チームが、3月に名古屋で行われるジャパンオープン出場を賭けて挑みました。

1/8(日)。TruthとしてはロボットキットKOROBOで日本リーグ・サッカーに初参戦の「ゆうき100%」はお揃いのTシャツで参加しましたが、まだコンテストに慣れていないこともあり、調整がうまくいかなかったようです。「SKY」はベスト8に残りましたが、決勝1回戦で惜敗。プログラムの丁寧さがわずかな差を生んだ気がします。日本リーグ・レスキューLineは、ブロック大会になるとレベルが上がり、直前の調整力によって順位の差が出たようです。ノード大会13位でギリギリ関東ブロック大会に出場できた「輝‐EV3」がリベンジを果たし準優勝。
【NLサッカー】ゆうき100%
【NL OnStage】Back To The Summer
【NLサッカープレゼン表彰】SKY(左)
【NLレスキューライン】輝-EV3

1/9(月祝)。ワールドリーグ・サッカーLightWeight「SAS」は、メンバーの一人が体調を崩し欠席したため、1人で2台のロボットを扱わなければなりませんでした。にもかかわらず、決勝トーナメント進出。準決勝では強豪チームに敗れましたが、3位決定戦で勝利。よく頑張りました。ワールドリーグ・レスキューLine「Diamond Fuji」は、カメラを使った画像処理によって被災者を発見するという画期的なチャレンジをしましたが、前日はうまくいっていたものの本番で不具合が起き、惜しくも5位。新設された日本リーグ・レスキューMazeに果敢に挑戦した「メテオ」は、Maze競技の伝統と実績を持つ玉川学園チームに大きく差をつけられ2位。日本リーグ・OnStage「Back To The Summer」は、インタビュー得点・パフォーマンス得点ともトップで堂々の優勝。「出港!HOKORI丸」は、インタビューとパフォーマンスでもう一歩点数が欲しいところでしたが、準優勝。Truthワン・ツー・フィニッシュを飾ることができました。
【WLサッカーライトウェイト】SAS
【WLレスキューLine】 Diamond Fuji
【NL OnStage】Back To The Summer
【NL OnStage】出港!HOKORI丸
【NLレスキューライン】アーマードザナルカンド
【NLレスキューライン】表彰


今回ポスター審査は初めての試みとして、審査員による評価と参加者による投票という2つの部門で行われました。プレゼンテーションポスターの重要性を、トゥルースの視線・第174回で述べましたが、5部門で受賞することができ、嬉しく感じます。
SASポスター
Back To The Summerポスター
SKYポスター

なお、Truth講師のOBでロボカップジュニアOBの宮下充さんがブロック長として執り行う初めての大会です。各競技のLIVE配信も行い、アーカイブは今でも見られますので、ぜひご覧ください。
https://rcjj-kanto.org/kanto/archives/1611

 次は3月に名古屋で行われるジャパンオープンです。出場するチームも、惜しくも出場を果たせなかったチームも、関東ブロック大会という大きな舞台で得た貴重な体験を、これからの活動に、そして、これからの人生に活かしてもらえることを期待しています。