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2011年12月15日木曜日

2011年12月

中高生に勝ち抜き見事2位受賞!
― レゴⓇブロック宇宙エレベータークライマーレース ―


11月20日(日)、東京都立産業技術研究センター(お台場)で「レゴⓇブロック宇宙エレベータークライマーレース(LASER)」が開催されました。

当アカデミーからは日吉校から1チーム、「ストロングドラゴン」<伊藤H(小6)・小畑D(小5)・小林K(小4)・吉川T(小4)>が、指定されたキットの部品だけでクライマーを制作し、高さ約4mまでの上昇タイムを競う「SEキットクラス」に挑戦しました。

「SEキットクラス」の参加チームは全部で12チーム。そのほとんどが中学生や高校生のチームで、有名私立大学の付属中学・高校の「理科部」や「物理部選抜」を名乗るチームもいる中、小学生のチームは「ストロングドラゴン」だけでした。しかし、みんな大会前日も遅くまでクライマーを改良したり、当日もエントリー早々に競技フィールドで練習するなど、気合は中高生に負けてませんでした。


  その結果、なんと予選段階から2位となり、みんなのテンションも一気に上がりました。その後、準決勝も順調に勝ち進み、いよいよ決勝戦を迎えました。決勝戦では上昇中にクライマーが停止してしまうアクシデントに見舞われ、決勝進出4チームのうち、まさかの最下位に。この時は、さすがに皆とても悔しそうでした。しかし、振り返ってみると全試合を通じて「ストロングドラゴン」のベストタイムは破ったのは1位のチームのみでした。順位は過去のベストタイムが採用されるため、「ストロングドラゴン」は変わらず2位を守り抜きました。「デザイン」や「効率」といった他の評価ポイントも高得点を得て、最終的に総合2位を獲得することが出来ました!

準備から大会本番まであっという間でしたが、一生懸命に取り組んで中高生を相手に2位を獲得したことは本当に立派でと思います。みんな大変よく頑張りました!


レゴⓇブロック宇宙エレベータークライマーレース(LASER)2011 
競技会結果は、こちら。 


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全20チーム49名が関東ブロック大会へ
― ロボカップジュニア神奈川西東京・東東京ノード ―


 11/19(日)に神奈川西東京ノード大会、11/20(日)に東東京ノード大会が都立産業技術高等専門学校(品川シーサイド)において開催されました。

当アカデミーより、神奈川・西東京ノードには日吉校の全7チーム、16名が参加。東東京ノードには、飯田橋校、練馬校の全12チーム、39名が参加しました。今年から、昨年までと大会スケジュールが大きく変更になり、初めての11月開催のノード大会となります。各チームとも活動期間の違いや雰囲気、様子の違いを少なからず感じながらも頑張りました。

  2011年大会では、自作マシン製作講座の成果が形になり好成績を残したサッカーチャレンジ。そのことがトゥルースのサッカーチーム全体のレベルを上げ、勢いがつき、神奈川・西東京ノードでは、ライトウェイト優勝「MAK」、第3位「武匠」、東東京ノードでは、ライトウェイト優勝「カスタトロフィー」、準優勝「Usas」、第3位「NXTキッカーズ」、オープンウェイト優勝「ヴィクトリウス」と表彰台を独占しました。


  レスキューチャレンジは今年はノード大会から2名以上のチームエントリーとなりました。チーム活動だからこそできる担当、役割を決めた研究、活動を行ってきました。またチームだからこそ起こる問題も抱えながらも、初めてのチームでのノード大会に臨み好成績を残しました。

  ダンスチャレンジでは、各チームが例年以上に高いレベルの演技を披露する中、練馬・日吉校混合チーム「Momotaro」がメンバーが演じると桃太郎と犬、猿、キジロボットの息の合った、人間とロボットのコラボレーションを演じ、準優勝に輝きました。
  また多くのプレゼンテーション賞を受賞し、プレゼンテーション能力の高さも実証することができました。


  ノード大会を勝ち抜いた全18チームに、ブロック大会から出場となるサッカーB、レスキューBの2チームを加え、全20チームが12/18(日)に玉川学園で開催される関東ブロック大会にコマを進めます。サッカーB、レスキューBは当アカデミーから初の参加となります。これが新たな歴史の1ページとなることを期待しています。引き続きご声援お願いいたします。

各ノード大会の詳しい結果は各大会公式ブログで
■神奈川・西東京ノード
      http://blog.goo.ne.jp/rcjj-kanagawa-nishitokyo/
■東東京ノード
      http://blog.goo.ne.jp/east--tokyo
■関東ブロック大会 開催概要
      http://rcjj-kanto.org/news.html
【日時】12/18(日)
【場所】玉川大学工学部・玉川学園
      ※アクセス
          http://www.tamagawa.jp/access/index.html
      ※キャンパスマップ
          http://www.tamagawa.jp/access/campusmap.html
【公式ブログ】 http://blog.goo.ne.jp/rcj-kanto


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算数・数学思考力検定
― 2/18(日吉校)・2/19(飯田橋校)にて開催! ―


 現在、世界が求めている算数・数学の学力は、「数学的リテラシー」と呼ばれるものです(視線51~53回参照)。

私たちは、日常のあらゆる場面で問題解決を求められています。解決しなければならない問題に直面したときには、まず、さまざまな条件を考慮し、いくつもの筋道を考えて、その中から最も良いと思うことを選択することになります。

ここで大切なのが、解決にいたるまでの過程、つまり筋道をどれだけ多く考えられるかということ。そして、その中から最適な組み合わせは何かを判断することです。
思考力とは、問題解決のプロセスを構築する力。これから未来に歩み進める子どもたちにこそ、この思考力が大切なのです。

算数・数学思考力検定では、知識を適用する問題ではなく、根拠を明らかにし筋道を立てて考える問題が出題され、「数学的リテラシー」を測定するものです。

    「個人成績票」には、得点や平均点の他、観点別評価や受検者へのアドバイスも掲載されていますので、今後の学習の指針も明確になります。また、合格者には「合格証書」が授与されます。
奮って受検なさってみて下さい。
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★トゥルースの視線(第65回)★
― ロボット教育指導者養成講座 ―
ロボットが創る白熱教室

以前いろいろなロボット講座に通っている小学生の女の子がいて、私が手がける科学館講座やRISE科学教育研究会(視線10回参照)主催「こどもロボット研究室」にも何度も通ってきていました。彼女はロボット講座用のノートを作っていて私の講座のページもあり、『熱血先生』というタイトルがついていました。

  私が『熱血』かどうかはさておき、講座では子供たちが『白熱』して活動に取り組んでいるのは確かです。小学高学年でも休憩時間を設けても、あまり白熱しすぎて休憩を取らずにオモラシをしてしまう子もいるほどです。小学校にボランティアでロボット講座で行うときなど、「ウチの子供たちは集中力がないので頻繁に休み時間を取ってください」とおっしゃる先生が多いのですが、蓋を開けてみると子供たちは夢中で試行錯誤し、集中力が途切れることはありません。学校の先生でしょうか?科学館などの授業で熱心に私の授業をメモしている父母の方もいらっしゃいます。

  これは、ロボット教材という優れた「ハンズオン教材」(視線8・9・63・64回参照)と「コンストラクショニズム」(視線2~4回参照)という教育理論が合致してなせる業なのです。しかも、活動は「オープンエンド」(視線11・12回参照)であり、課題の答えは1つではなく、子供たちの考えにより千差万別なアプローチが可能となります。当然、課題設定には「発達の最近接領域」(視線44・60回参照)が考慮されなければなりません。これらが綿密な計算のもとにデザインされ、上手く融合された時に初めて子供たちの『白熱』が生まれます。そして、この『白熱』の中から子供たちは多くのものを学び取ることができるのです。要するに、「教材」と「カリキュラム」、そして「指導方法」が三位一体となって初めて『白熱授業』が実現できるということです。

  「科学的リテラシーを向上させる優れた理科授業に関する教師用ビデオ教材の開発(平成22年 研究者代表 小倉康(国立教育政策研究所)」というA4版426頁に及ぶ分厚な、平成19年~21年科学教育研究費助成金・研究成果報告書が手元にあります。この内容は改めてご紹介する機会もあるかと存じますが、最後の方に「『ロボットを取り入れた科学的リテラシーの指導法』ワークショップ」という章があり、ここには私共が実践してきたアクティビティ(活動)がいくつも紹介されています。

国立教育製作研究所は「教育政策に関する総合的な国立の研究機関として、学術的な研究活動から得た成果を、教育政策の企画・立案にとって有意義な知見として集約・提示する立場にあります。また、国際社会において日本を代表する研究機関であるとともに、国内の教育に関係する機関や団体等に対して、情報を提供したり必要な助言・支援を行う立場にあります」(http://www.nier.go.jp/index.html)。すなわち、国の教育政策を決定する機関となります。私共の教育実践が国の教育政策に微力ながら影響を与えつつあるのを感じます。

  私共の教育実践を広く普及しなければならないという使命感を常に持っていました。しかし、私共が築き上げてきたカリキュラムが独り歩きし、「コンストラクショニズム」という指導方法が伴わなければ、真に「科学的リテラシー」を育てる教育にはなりません。そこで、RISE科学教育研究会では指導者を育成することを目的に『ロボット教育・指導者養成講座』(http://www.rise-j.net/)を始めました。初回は今年9月に行いましたが、参加者はわずか3名でしたが、学校の先生、学習塾の先生、一般の方というように異なった立場で関心を持たれたようです。次回は、2012年1月22日(日)になります。ご興味がある方は奮ってご参加ください。

2011年11月15日火曜日

2011年11月

めざせメキシコシティ!進化した競技に挑戦の年!
― ロボカップジュニア2012開幕 ―


11/19(土)神奈川・西東京ノード大会を皮切りに、関東各地でロボカップジュニア2012の予選(ノード)会が始まります。

今年は、ロボカップジュニアにとって大きな変革の年となります。これまでシニアと合同でゴールデン・ウィークに開催されていたジャパンオープンが、今年は、ジュニアのみで3/30(金)-31(土)に尼崎市ベイコム総合体育間で開催されます。それに伴い、これまで2~3月に開催されていたノード大会、関東ブロック大会が11月~12月に開催されることになりました。

11/19(土)神奈川・西東京ノード大会に日吉校の生徒が、11/20(日)東東京ノード大会に飯田橋・練馬のチームが出場し、7月の世界大会(メキシコシティ)を目指します!


  昨年は、Truth史上最多の4チームが世界大会に進出、サッカーAライトウェイトでは3チームがジャパンオープンに決勝進出を果たすなど輝かしい戦績を残すことができました。今年は、新たに、サッカーAオープンウェイト、壁の無いより本物のサッカーに近づいたサッカーB、シニア同様に熱を発する被災者を捜索するレスキューBにも初挑戦します。


  現在、ロボットサイエンスの生徒は、大きな目標に向け、チーム一丸となってロボットの開発、研究に取り組んでいます。ぜひ、会場で各チームのパフォーマンス、活躍をご覧ください。応援よろしくお願いします!

ロボカップジュニア2012開催概要
http://rcjj-kanto.org/news.html

■神奈川・西東京ノード大会:
11月19日(土)都立産技高専品川キャンパス(りんかい線品川シーサイド)

■東東京ノード大会:
11月20日(日)都立産技高専(りんかい線品川シーサイド)

■関東ブロック大会:
12月18日(日)玉川大学工学部・玉川学園(小田急線「玉川学園前」)
※ジャパンオープンへの選抜

■ジャパンオープン2012
3月30日(金)31日(土)尼崎市ベイコム総合体育館
http://www.robocupjunior.jp/

■メキシコ世界大会
6月18日~24日 メキシコシティ
http://www.robocup2012.org/


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個性的な高専文化祭「産技祭」報告
― Truth卒業生・講師らが活躍! ―


10月29日(土)-30(日)に都立産業技術高等専門学校・品川キャンパスで、同校の文化祭である「産技祭」が開催されました。
ロボカップ部が主催する「ロボカップ競技会」に当アカデミーのチームが招待されました。ロボカップ部部長で当アカデミー卒業生の加納誉大君の提案から実現。29日のサッカーチャレンジに2チーム、30日のレスキューチャレンジに4チームが参加し、本大会前の貴重な経験ができました。
  産技祭は高専ならではの、ロボットや催しが楽しめるのも特徴。当アカデミー卒業生の神山慧君も開発に携わったモーター、エンジン二つの動力を持つ「ハイブリッド機関車」が来場した子どもを乗せ、敷地内を疾走していました。この機関車は、適切なタイミングで動力が切り替わるよう、また誰が運転しても安全なように、急発進・停止時・急カーブ中は、自動的にスピードをコントロールするよう電子制御されているハイテク機関車です。


  リモコン型ロボットの格闘競技「かわさきロボコン」には、当アカデミー講師の西村先生も参戦。白熱したバトルで観客たちを沸かせていました。

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★トゥルースの視線(第64回)★
― 生きた知識を求めて  ハンズオン・ラーニングの意義 ―

前回はハンズオン・ラーニングで使用する教材に求める在り方についてお話しいたしましたが、今回は、なぜハンズオン・ラーニングが必要なのかをお話ししたいと思います。

  外部講座や講習会でいろいろな子供たちに接する機会が多いのですが、最近何かを尋ねたとき、子供たちの返事に気になることがあります。一つは「それ、知ってる」という返事。もう一つは、「習っていないから分からない」という返事。前者は、どこかで見聞きしたのでしょう。科学的な事象や現象で言えば、科学館などのサイエンスショーかテレビで見たのかもしれません。しかし、それが意味することは何なのか?なぜ、そのようなことが起こるのか?という一歩立ち入ろうとする疑問や興味・関心が「知ってる」という一言で遮断されてしまっているような気がします。後者は、知識はだれかから教わるものだという大前提があって、初めて出合った事柄について自ら考える姿勢が希薄になっているように感じます。

  数年前「WRO」というレゴ(R)のロボットで競うロボットコンテストの世界大会が横浜で行われたとき、レゴエデュケーション(R)のデンマーク本社から来た幹部に、「当日突然出された課題に対して、デンマークの子は対応できるのに、なぜ日本の子は対応できないのか?」と聞かれたことがあります。「高校生までは『学校の先生の言うとおりに勉強しさい』、大学に入ると『自分で勉強しなさい』、社会に出ると『自分で考えろ』というのが、日本人の教育の特徴だからかもしれない」というような返事をしたところ、「それでいいのか?」と本気で心配されたことを思い出します。

  子供たちが自らの頭で考えるきっかけを、大人はどのように作ったらいいのでしょう?自発的にものを考える拠り所を、どのように提示すればいいのでしょう?

  ある学習塾の小・中学生の受験生を相手に、組み合わせたギアを見せてギア比を計算させたところ、見事に正解できました。次に、「では、何対何のギア比になるように、好きなようにギアを組み合わせてごらん」と言うと、ものの数分も経たない内に皆お手上げになってしまいました。
しかし、当アカデミーの生徒たちはいろいろとギアを組み換え、その度に「いーち、にー、さーん…」などと数え、その末に「できた―!」と叫びます。そして、「このギアが何回まわると、このギアが何回まわり、その動きがこのギアに伝わって…」と、力の伝わり方のプロセスを説明し始めます。
計算とは、関係を式に表し、あとは決められた計算方法に従って解くだけのブラック・ボックスにしか過ぎません。オープンエンド(正解は1つではない)の課題なので、同じギア比でもやり方が異なれば、摩擦なども関係してギアを回す手にかかる力も異なります。どちらが「生きた知識」で、どちらが「死んだ知識」なのかは歴然です。

  これは、レゴ(R) 教育用ブロックという『ハンズオン教材』を日頃から使って学んでいることの成果の一つではないでしょうか?授業では、頭の中だけで考えて結論を出さないこと、必ず推論を立ててから実験すること、その結果を考えることを徹底して行っています。そのためか、実証的な精神が育っているのかもしれません。

  このように、ペーパー一辺倒の学習とは異なり、手と頭をフルに使って学ぶ「ハンズオン・ラーニング」は、子供に自分から考えるきっかけを与え、何かを考えたり何かを成し遂げる際に必要な根気や粘り強さをも育てるのに有効な学びなのです。しかも、これが実社会との結びつきを常に意識しながら学習できるのならば、子供たち自身が学習の意義を十分に感じることもでき、高いモチベーションをもって学習に取り組めるのではないでしょうか?

2011年10月15日土曜日

2011年10月

レゴ®ブロック宇宙エレベーター
クライマーレース2011@アゴラ(LASER plus 2011)募集開始!
11/20(日)に開催!
― Truthチーム、出場者募集!!  ―


来る11月20日(日)、一般社団法人 宇宙エレベーター協会主催『レゴ®ブロック 宇宙エレベーター クライマーレース2011@アゴラ(LASER plus 2011)』が、東京都立産業技術研究センター(お台場)で行われます。いよいよ募集が開始されました。(http://www.rika.com/archives/5547)

  昨年は、指定されたキットの部品だけでクライマーを製作し、「なっちゃん」のジュース缶を約5mの高さまで運ぶタイムを競う「SEキットクラス」と、レゴブロックで自由に製作しデザインやオリジナル性、コンセプトなどを審査員が評価する「無制限クラス」が行われました。
当アカデミーからは「SEキットクラス」に4チームが参加し、3位・4位という優秀な成績を収めました。
  今年は、主に上昇スピードを競う「SE キットクラス」と、アースポート(地上)から宇宙ステーションまで規定時間内に人形を何人運べるかを競う「スタンダードクラス」の2つの競技が用意されています。後者は革新性や堅牢性も評価され、大会当日発表される課題(スペシャルミッション)も付加されるとのことです。

  今年の夏期特別授業で「宇宙エレベーター」の授業を行いましたので、関心を持っている生徒も多いかと思います。「LASER plus 2011」の出場者を募集し、当アカデミーのチームを組んで挑戦しませんか?日頃の学習の成果を発揮できる機会であり、大会出場経験は今後の成長のきっかけにもなるかと存じます。


<大会開催概要>
名称: 「レゴ®ブロック 宇宙エレベーター クライマーレース2011@アゴラ」
略称: 「LASER plus 2011」
日時: 2011年11月20日(日) 10:00~17:00
会場:東京都立産業技術研究センター 中2F イノベーションハブ
(東京都江東区青海2-4-10 URL http://www.iri-tokyo.jp/ )
内容: LASER競技会(SEキットクラス、スタンダードクラス)、宇宙エレベーター解説、展示
*LASER plus 2011は(独)科学技術振興機構主催によるサイエンスアゴラ2011出展催事です。
参加対象:小学校4年生以上の学生、一般の方で個人または団体。
参加費:無料
参照URL:一般社会法人宇宙エレベーター協会  http://jsea.jp/
サイエンスアゴラ  http://www.scienceagora.org/


<「LASER plus 2011」トゥルース・チーム出場者募集概要>
■応募資格:当アカデミー在籍の小学4年生以上
      ・11/20(日)大会に参加できること
      ・写真・動画の撮影・掲載及び免責事項に同意できること
      ・活動日(4日)の内、2日以上出席できること
■申込締切:10月22日(土)
■活動日:10/29(土)・11/5(土)・11/12(土)・11/19(土)
■参加費:1回1,000円


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「ロボットの鉄人2011」活動報告
― サッカーでソレノイドシューター製作!
レスキューで新センサー搭載! ―


9月23日(金祝)~25日(日) の3日間、川崎市民プラザ(川崎市)においてロボカップジュニア強化合宿『ロボットの鉄人2011』が開催されました。
ロボットの鉄人は、世界大会出場経験を持つ大先輩と昼夜を共にし、ジャパン、世界で通用する技術、研究姿勢を身につける強化合宿として2008年より行われ、毎年多くのジャパンオープン、世界大会チームを誕生させています。

  4回目の開催となる今年は、新たにサッカーAオープンウェイト/サッカーBチャレンジ対象の講座も開催。サッカーAチャレンジ8名、サッカーAオープンウェイト/サッカーBチャレンジ4名、レスキュー12名、レスキューベーシック(初級)2名の合計26名が参加しました。


  大きなルール変更から3年目の大会を迎えるレスキュー。年々出場ロボットの完成度が高くなってくる中、それでも勝ち進めるように、NXC(C言語に似たテキスト言語)や新たなセンサーを研究する講座を開催。ジャイロセンサーと加速度センサーの機能を併せ持つ「慣性センサー」を使って、ロボットがフィールドのどこにいるのか、どの方向を向いているのかを検知する課題に取り組みました。参加者たち積極的に新たな技術を取り入れました。

    サッカーオープンウェイト/サッカーBでは、インスタントカメラのフラッシュの増幅回路を使った強力ソレノイドシューターの制作、グリーンカーペットに対応する超音波センサーを使った位置制御など、全国のハイパワーマシンに対抗するマシンを目指し活動を進めました。

  夜間には、宿泊部屋にフィールドを持ち込み、深夜まで調整、試合を繰り返しました。鉄人達も深夜まで指導に徹し、参加者達に世界大会を目指すものの心構えを行動で示しました。参加者達のその熱心なその姿に、1つのことにこれだけの時間集中し夢中になって取り組めるのかと驚かされました。


ロボットの鉄人2010から、3チームがトルコイスタンブル世界大会進出チームが生まれました。今年は、どのような活躍を見せてくれるか期待が高まります。


★関東各ノードでエントリー開始!

関東ブロックの各ノードで今月からエントリーが始まっています。
関東ブロックの詳細は、以下のHPで。
http://rcjj-kanto.org

★10/29(土)-10/30(日)産技祭でトゥルースチームが出場!

都立産技高専・品川キャンパスの文化祭「産技祭」が、10/29-30に開催されます。
トゥルースOB部員も多い同校ロボカップ部が、サッカー(29日)、レスキュー(30日)の競技を開催。
トゥルースチームが招待されました。
楽しい学校祭も楽しみつつ、ぜひ、競技の応援にもいらして下さい!
http://www.metro-cit.ac.jp

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★トゥルースの視線(第63回)★
― スティーブ・ジョブズ死去  ツールが持つ力 ―

 「Appleは先見と創造性に満ちた天才を失いました。世界は一人の素晴らしい人物を失いました。スティーブを知り、共に仕事をすることができた幸運な私たちは、大切な友人と、常にインスピレーションを与えてくれる師を失いました。スティーブは彼にしか作れなかった会社を残しました。スティーブの精神は永遠にAppleの基礎であり続けます。(http://www.apple.com/jp/stevejobs/)」 

10月5日、米アップル社スティーブ・ジョブズ氏(享年56歳)の死は世界に深い悲しみをもたらしました。

  MacOS、iMac、iPod、iPhone、iPad…、次々と生み出される、圧倒的に素敵なデザインとワクワクするような新しい機能を持つアップル社の製品は、私たちの生活を、社会を大きく変える原動力になってきたことは誰もが認めるところではないでしょうか。
最近ではタブレット端末iPadの出現が印刷業界や出版業界において電子書籍化を一気に加速化し、ある調査では日本の先生の約7割が教育現場への導入に前向きな意向を示しているとのことです。

様々な端末器は所詮単なる「ツール(道具)」かもしれません。しかし、この情報化社会において、技術革新による新たな「ツール」の発明が人間生活に与える影響は計り知れないものがあるのも事実です。

  当アカデミーのようにHands-on-learning(ハンズオン・ラーニング:ペーパーには依らず具体物を用いて行う直接体験型の学び)を実践する場においては、教材は大切な「ツール」です。かつては玩具でしかなかったレゴブロックがマサチューセッツ工科大学メディアラボとの共同開発によって、科学技術教育の教材に生まれ変わりました。

1998年レゴ社製ロボット製作キット「マインドストーム(Mindstorms) 」の出現によって、世界の教育現場にロボットを教材とした授業が導入されるようになり、世界大会まで開催されるロボットコンテストも生まれました。『Mindstorms』は元々、「コンストラクショニズム」という教育理論を提唱しているシーモア・パパートが自身の理論と実践を記した著書の題名です。「ツール」が教育の変革を強くサポートした典型的な一例ではないでしょうか。

  私共は、レゴ社の教育用ブロックだけでなく、リトル・ダビンチでも、優れたハンズオン教材の備えるべき条件は以下のように考えております。
1)色やデザインの見た目が魅力的であり、その教材が対象とする年齢の子供たちに楽しそうに感じられること
2)素材が安全であり、手で触った感触がいいこと
3)オープンエンドの学びが実現できること
  (たった1つの正解が予定されているのではなく、多様な解答が実現できること)
4)操作の難易度が対象年齢に合っており、操作にストレスを感じさせないこと
5)これらの条件を満たし、教材自体が子供の試行錯誤を支援するものであること

  ジョブズ氏のように圧倒的に革命的なツールを私共が自らの力で生み出していく能力はありません。せめて、これらの教材(ツール)を有効に使って、「コンストラクショニズム」に基づいた教育が実践できるように授業案を練り、実践していくことが私共の使命であると考えております。


2011年9月15日木曜日

2011年9月

トゥルース・アカデミー2011夏
―日本のこと、地球のこと、宇宙のことを考えた夏―

震災後初めてむかえる夏休みとなりました。記録的な猛暑、異常な気象現象、不安定な政治と揺れた夏。人間の生活と技術、環境について少しでも子どもたちが関心を持ち、考えて行動するきっかけとなる活動をトゥルースアカデミーでは行いました。


工作・ロボット・算数・実験など夏休みだからできる多彩な講座を全12種のオリジナルのカリキュラムで開講。幼児~中学生まで、一般受講生も楽しめる講座として例年人気です。


今年の新しい試みとしては小4以上対象の「宇宙エレベーター」。実現に向け研究が進んでいる地上と宇宙をエレベーターでつなぐ輸送機関について学び、レゴでベルトを上昇させる機構を開発します。講座では、昨年秋に開催された「レゴ宇宙エレベータークライマーレース」の課題に挑戦。モーターのパワーを強力にする工夫、ベルトとの摩擦などの微調整に子供たちは真剣でした。11月20日に今年も同大会が開催されます。挑戦者集まれ!!(課題は10月上旬に公開)


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オーシャンプロジェクト2011
― 海のいきもの、プランクトン、夜の海に光る夜光虫に大興奮! ―


RISE科学教育研究会では、7月29日―30日の1泊2日、昨年に引き続き真鶴(神奈川県)にて「オーシャン・プロジェクト」を開催しました。今年は震災の影響もあり少人数での開催となりました。

  初日は神奈川の景勝50選にも選ばれている三ツ石海岸へ。真鶴町立「海の学校」の渡部孟先生をはじめとする専門の先生方と一緒に磯の生きもの観察をしました。最近は南の海の生きものも真鶴の海で見られるようになったことなど、専門家の先生だからこそ知るいろいろなお話しを聞くことができました。また、真鶴では珍しいカニを捕まえることもできました。その後は町立「遠藤貝類博物館」内を案内していただき、展示の貝について詳しく解説していただきました。


  午後は、琴ヶ浜でシュノーケリング、水中での色の変化の実験、潮の満ち引きの定点観測など様々な実験を行いました。夕食は宿泊先「ペンションしおさい」で海の幸に舌鼓を打ち、夜の活動へ。神奈川を中心に、海や海洋生態系についての教育サービスを行っている横浜国立大学環境学博士の水井先生と一緒に、夜の港にプランクトンを採取に。暗い海に光る夜光虫に感動しました。宿舎で採取してきたプランクトンを顕微鏡で観察。そのグロテスクな姿に驚きました。


  2日目は心配していた雨もどうにか降らずにもちました。水圧の実験を行った後、再び琴ヶ浜に磯の生きもの探しに。昨日の満潮のときの様子とは色々違いがありました。午後は、公民館でデータロガーを使って計測した海中と地上の温度の違いを比較、検証し、2日間の活動の実験、研究のまとめを行いました。


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サマーチャレンジ2011
―ポチにサッカーにレスキュー!様々なロボットが登場!―


8/28(日)都立産業技術高等専門学校において「サマーチャレンジ2011」が開催されました。これまでは、宝探しの名犬ポチをテーマにしたサマーチャレンジオリジナル競技「Kokohore-Wanwan」を実施してきましたが、今年は、ロボカップジュニアの大会日程が前倒しされたことを受け、中級上級課題はロボカップジュニア競技として「サッカ―チャレンジ」「レスキューチャレンジ」、初級課題は「Kokohore!-Wanwan」の3競技を行いました。


  「Kokohore-wanwan」には、17チーム33名が参加。布やフェルトなどいろいろな素材で作成したポチらしいロボットが例年以上に登場し、会場の皆を楽しませました。ポチを本物の犬ようのゲージに入れて会場に運ぶというとてもユニークなアイデアを披露した、末村T君(飯田橋校・小6)がベストパフォーマンス賞に選ばれました。

  「サッカーチャレンジ」は、全14チーム28名が4リーグに分かれて競技を行いました。今大会はグリーンカーペットのフィールドで実施。グリーンカーペットはサッカーAライトウェイト世界大会、重量制限がない上級リーグオープンウェイトで使用されます。従来のグレースケールではないフィールドに苦戦をしいられるチームが多い中、前大会ロボカップジャパンオープン2011で決勝進出を果たした安永S君(日吉校・中3)と、大杉Y君(エルプレイス)のチームが優勝。参加者達はグリーンカーペットを経験したことにより、新たな自殺点防止方法、戦略の必要性を感じたようです。


  「レスキューチャレンジ」は、世界大会のスーパーチーム同様、2台のロボットによるオリジナルルールで行われました。第1ラウンドでは、ロボットがそれぞれ動いているといった様子でしたが、第2ラウンドではチーム内での役割を明確にしたチームもありました。安定したパフォーマンスを見せた畝本R君(飯田橋校・中2)、三木H君(エレファント・アリー)のチームが優勝。
  ベストプレゼン賞はロボット経験が多く、ロボカップ上位大会出場経験者が受賞。その経験を披露してくれました。


  今大会は、全チャレンジマルチチームで行われました。チームメンバーとは会場で初めて顔を合わせることになります。ロボットだけでなく、チーム間でのコミュニケーション能力、限られた時間の中でチームとして戦略を立てる能力も評価されることになりました。通常のロボットコンテスト以上に、他チームと交流を持つことができた有意義な大会になったことと思います。

※サマーチャレンジの結果はRISE科学教育研究会HP(http://www.rise-j.net/)で公開されています。


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★トゥルースの視線(第62回)★
―RISEサマーキャンプ2011報告 科学三昧の3日間―


 高尾は暑かった。『サイエンス・キャンプ』(子どもゆめ基金助成活動)を行った8/9~11、高尾は猛暑日を記録。初日のうだるような暑さの中での高尾山登山に始まり、最終日にはスコールのような雷雨で戸外から慌てて室内に逃げ帰ったり、一瞬の停電に驚いたり。しかし、そんな暑さに負けないくらい熱い科学活動を行いました。

  2005年にスタートし、2007年に場所を高尾に移したRISE科学教育研究会(中島晃芳代表)主催の『サイエンス・キャンプ』は、普通のキャンプとは一味もふた味も違います。テントを張ったり、飯ごう炊さんのご飯を食べたり、キャンプファイヤで楽しんだりするのは当り前。専門家による自然観察、昆虫採集、食育講座は毎年恒例です。


定番の中でも最も特徴的な活動は、「データロギング」。レゴ社製のロボット製作キットを用いて、各種センサーが取得したデータをパソコンにアップロードし、データを読み取る活動です。センサーを使った「暗号解読ゲーム」も、子供たちが熱中するメニューの一つです。

  今年は、エネルギーや環境問題と関連付けながら「データで探る山の自然」をテーマとしました。登山の最中に光センサーと温度センサーでデータを収集し、道中の環境や体感温度の変化との関連を考察しました。チームごとに登山ルートが異なるので、それぞれのルートの特徴が表れた異なるデータが得られたことは、とても興味深いことでした。自然観察の専門家からは高尾山の環境の変化と生物の変遷について学びました。また、エネルギーを自分で作る火起こし体験や、自分たちで制作したソーラークッカーを使ってのゆで卵づくり。二酸化炭素の発生実験や温暖化実験、植物の光合成実験、風力や太陽光による発電の実験。これらをデータロギングと組み合わせて行いました。そして、燃料電池カーの製作と実験、競技も。


  アメリカで開発された環境教育プログラム『プロジェクトワイルド』は、昨年導入しました。これは「自然を大切に」と理解するだけでなく、「自然や環境のために行動できる人」を育成することを目的としています。
今回のキャンプのフィナーレとして、『トンボ池』というアクティビティを行いました。トンボ池という美しい自然を残す池に水力発電所をつくる計画が持ち上がりました(設定はオリジナルのものをアレンジしています)。参加生徒たちは電力会社や関連企業、住民などの立場に立って自分の意見を主張し、最終的にどこにどんな施設をつくるかを決めなければなりません。これは単なるディベートではなく、相手の主張を打ち負かせばいいという訳ではありません。自分の立場を主張しつつ合意形成を図らなければならないのです。各チームは合意形成の結果に基づく地図を手にして、修了式の場で父母の皆様の前で発表しました。しかし、話はそれだけでは終わりません。最後には、周辺地域や国、世界との関わりを考えなければならないことに到ります。生徒たちは皆、真剣に考えて議論し、短い時間の中で多くのことを学んだようです。

  目まぐるしいスケジュールでしたが、参加生徒は朝早くから原っぱを駆け巡ったり、ツリーハウスで飛び跳ねたりと到って元気です。活動中もうつらうつらと舟をこぐ子もいません。よほど充実した時間を過ごしていたのでしょう。帰宅してから一気に疲れが出たのではないでしょうか?

  年間を通した教育活動『こどもロボット研究室』の一環として、9月には2泊3日の『ロボットの鉄人』合宿、10月・11月には『自律型ロボット製作講座』を開催予定。子供たちの輝く笑顔と未来を思い描きながら、RISEは新しい学びを提言し続けます。



2011年7月15日金曜日

2011年7月

レスキュー全チームがトロフィー獲得!
―ロボカップジュニア2011イスタンブール世界大会報告 ―


去る7/6(水)~7/10(日)の5日間、イスタンブール(トルコ)でロボカップ世界大会が行われました。

当アカデミーからは、レスキューAプライマリ「3T Robot(亀井I君・新美S君)」と「Σ(持田S君・角田W君)」、レスキューAセカンダリ「RCX Rescue Team(清水S君・小林A君)」、ダンス・プライマリ「Suikas(酒井M君・井上S君・相原G君)」が、日本代表として参加。全体では世界各国の代表がレスキューAプライマリ33チーム、同セカンダリー35チーム、ダンス・プライマリは19チームが参加しました。

レスキューAは2~4日目の3日間が1チーム1台のロボットによる「個別競技」で、1日3回×3日=全9回もの競技が行われました。9回の競技の内、最低得点を除いた8回の得点を合計して順位を決めます。しかも、2日目にはインタビューも行われれるというハードなスケジュール。ジュニアの会場が地下駐車場ではないかと思うような場所だったので埃(ほこり)が多く、ロボットのキャタピラやタイヤが滑り易い上、磁気の影響もあって方位センサーが予定通り使えずに苦戦したようです。加えてスケジュールや得点結果のアナウンスも遅く、不安な時間を過ごさざるを得ませんでした。

そのような状況の中で、昨年優勝の「3T Robot」は精神的なプレッシャーや他チームからのマークや圧力にも負けず、見事堂々の準優勝。技術の高さに加え、精神力の強さも感じさせ、大いなる偉業を成し遂げました。初出場の「Σ」は最初なかなか満足な結果を出せませんでしたが、回を追うごとに得点を伸ばしていき4位という立派な成績を残しました。「RCX Rescue Team」は今年世界大会3度目の出場。苦戦したものの8位。悔しい思いもあったかもしれませんが、安定した実力を発揮したと思います。


5日目は他国のチームと組んでロボット2台で行う「スーパーチーム競技」、世界大会ならではの競技です。「個別競技」のBest12のチームしか出られません。ルールもチームの組み合わせも前日発表のため、4日目は3回の「個別競技」を終えてからプログラムを組み、場合によってはロボットの改造も行わなければなりません。しかも、翌日午前10時に試合開始という、とても過酷なスケジュールです。
3回の競技が行われた結果、プライマリ「Σ」優勝、「3T Robot」3位、セカンダリ「RCX Rescue Team」2位。言語の壁もありコミュニケーションが大変だったと思いますが、相手チームを助けたり、助けられたりと、楽しく過ごせたのではないかと思います。

今の日本の子供たちに足りないものをいろいろ指摘されていますが、そんなことを微塵も感じさせません。新たに出された課題に対して真剣にしかも楽しみながら取り組む彼らのチャレンジ精神を日本の大人たちにはぜひ見てもらいたいものです。

レスキューは国内では圧倒的に1人チームが多かったのですが、今年の世界大会からは、どの競技も2名以上のチームしか受け入れないというルールになりました。その関係で関東ブロック大会直後に急遽チーム編成を行ったのでそれぞれのチーム状況はどうなるかと大変心配していましたが、レスキュー3チーム6人が競技や調整以外はいつも一緒にいて食事したり遊んだり、夜はみんなで集まったり、とても仲良く過ごせたことも素晴らしい結果を生んだ一つの要因だったかもしれません。社会に出て一人だけで何もかも行う仕事に就けることは珍しいことですので、これも一つの経験になったかと思います。


ダンスは、1日目にインタビューとステージ練習、2日目と3日目にステージでのパフォーマンスが1回ずつ。上位11チームが4日目に決勝に進出できます。「Suikas」はジャパンオープンの時の実力が予選で発揮できず、無念の敗退。5日目の「スーパーチーム」では、オーストリアの「The Pirates」とスロバキアの「Black Panthers」と組み、「United Nation of Ch.A.S」という新たなチームを結成しました。どうも中国チームと間違えられたようです。テーマはパーティーとし、スロバキアの女子4名が主導してプログラムの変更や人間のダンスの練習などを一所懸命行っていたようです。結果は残念ながらTOP3には入れませんでしたが、英語がよく分からないながらも、外国チームとの共同作業という新鮮な体験をとても楽しんだようです。

連日朝早くから遅くまで会場に缶詰状態でなかなか観光もできませんでしたが、帰国日の7/11にはボスプラス海峡クルーズ、ブルーモスクとトプカプ宮殿の観光、そしてトルコでの最後の昼食、買い物と慌ただしいながらも少し旅気分を味わうことができました。


皆よく頑張りました。立派でした。日本代表として世界の舞台に立った経験を、今後の人生における成長の糧としてくれると信じています。

【参考】
■レスキュー結果:
http://www.robocup2011.org/en/content.asp?PID={56FB3757-2D1A-4360-AA22-C922A56F5948}&PageFn=Results


■ダンス結果:
http://www.robocup2011.org/en/content.asp?PID={AF0738DB-3BA2-4429-829D-CB475D2A3A6C}&PageFn=Results



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サマーチャレンジ2011初級競技紹介
― 宝を探せ!「Kokohore-Wanwan!」  ―


今月は初級対象の競技「Kokohore-Wanwan!(ここほれわんわん)」についてご紹介します。
  Kokohore-Wanwanは「宝探しの名犬ポチ」をテーマに2005年より毎年サマーチャレンジの競技として実施されています。回を重ねる毎に、課題、内容がパワーアップされてきましたが、今年は初級のみ対象の課題と設定し、原点に回帰することにいたしました。
  宝が眠っている野原と想定された黒と緑のラインに囲まれたフィールド内をロボットが宝の隠し場所を探し回り、発見したらパフォーマンスをしてご主人に知らせる競技です。1.6m×1.1mのフィールド内に、黒の宝の隠し場所10個、銀の宝の隠し場所5個がランダムに配置されています。制限時間180秒間の間にいくつの宝の隠し場所を発見できるか競います。発見時のパフォーマンスの内容は自由。ベストパフォーマンス賞の対象となります。
  レゴで犬の形に作られたロボットやぬいぐるみを被ったロボット、口を大きく開けたり、しっぽを振ってパフォーマンスをするロボットなど、毎年、ユニークな名犬ロボット「ポチ」が登場します。真剣な勝負ももちろんですが、面白い、かわいらしいロボットやパフォーマンスを見られるのもKokohore-Wanwan!の特徴、見どころです。ぜひ会場に足を運び、名犬ロボット「ポチ」達の活躍をご覧ください!

    ■詳しくはRISE科学教育研究会
                
http://www.rise-j.net/

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ロボカップで好成績チームを多数輩出!
― 短期集中強化合宿「ロボットの鉄人2011」  ―


  RISE科学教育研究会主催「ロボットの鉄人」は、ロボカップジュニア世界大会に出場経験のあるロボットの鉄人たちと過ごす2泊3日のロボット短期集中強化合宿です。08年のから開始し、今年で4回目の開催となります。これまでの参加者は、ジャパンオープン決勝、世界大会出場、世界大会チャンピオンと輝かしい成績を残しています。

今回も昨年同様、サッカー、レスキュー、ベーシック(初心者対象)の3コースを実施します。   競技、指導経験豊かな鉄人達がロボットの構造からプログラムまで昼夜を問わず熱心に指導にあたります。昼間に競技会を繰り返し行い、実戦経験を積みながら、調整方法を学び、各自の課題を明確にしていきます。夜間にはテーマ別講座も開講し、ロボットを進化させていきます。

鉄人達のロボットや調整方法にじかに触れ、共に活動することで、ジャパンオープン、世界大会で通用する研究姿勢、ロボットの製作方法、調整方法を身につけられるロボット漬けの濃密な3日間です。   

来年の世界大会はメキシコ!ここから世界を目指そう!

 


■昨年参加者の実績
ロボカップジュニア2011
     シンガポール世界大会…3チーム出場
             ・レスキューAプライマリ 個別準優勝
             ・レスキューAプライマリ スーパーチーム優勝
             ・レスキューAプライマリ スーパーチーム第3位
     ジャパンオープン2011大阪…6チーム出場
             ・レスキューAプライマリ…準優勝
             ・レスキューAプライマリ…第3位
             ・レスキューAプライマリ…最優秀プレゼン賞
             ・サッカーAライトウェイト…2チームが決勝トーナメント進出
             ・サッカーAライトウェイト…最優秀プレゼン賞

■参加するロボットの鉄人の実績
西村進一:04リスボン
               05大阪世界大会出場
中川雅貴:06ブレーメン世界大会/個人準優勝・マルチ優勝、
               07アトランタ世界大会/特別賞
               08蘇州世界大会/個人優勝
奥山弘祐:02福岡世界大会/ベスト16
               06ブレーメン世界大会出場

【ロボットの鉄人2011開催概要】
開催日:9月23日(金祝)~25日(日) 2泊3日
開催場所:川崎市民プラザ(川崎市)
対象:小学5年生以上(PC、ロボット持参できる方)
定員:22名 (定員に達し次第締切)
参加費:29,800円(税込)
受付開始:2011年8月23日(火)


 ■詳しくはRISE科学教育研究会
                 
http://www.rise-j.net/

2011年6月15日水曜日

2011年6月

トゥルースの授業が広がっていく!
―都立高校、保育園でも授業を展開中! ―


これまでも学校や幼稚園、科学館などで、トゥルースの特別授業を紹介してきました。体験型学習(ハンズオン)しながら科学する心、問題解決力を育成する授業を普及するため、当アカデミーの授業は教室を飛び出し、様々な場所へと出張しています。

  この5月から品川区立伊藤保育園(西大井)で、年中・年長対象に科学プログラムを実施。これまでも様々な科学遊びを取り入れている園ですが、今回当アカデミーが提供するのは、1年を通しての継続的な科学活動です。「四季のお天気観察」をテーマに取り組んでいます。園という定点観測するのに最適な環境で、日々天気と気温を記録し、季節ごとに特徴的な気象現象について観察・実験・工作などを行っています。


  今年4月、10番目の都内最後の総合高校として新設された東京都立王子総合高校(西巣鴨)。まだ、第1期である1年生しかいない新鮮な学校です。基本的な科目の他に特色あるコースとして、メディア・ネットワーク系列、ビジネス・コミュニケーション系列、工業デザイン系列、電灯文化・工業系列、スポーツ・健康系列が設けられています。1年次の前期ではすべての系列を体験し、後期には2つの系列に絞って体験学習、2年次から専門系列を絞ります。当アカデミーはメディア・ネットワーク系列を担当。テーマは「人間と技術と環境」。レゴ教材やレゴ教育用マインドストームNXTを使用しながら、このテーマに追究する授業を展開しています。大震災以来、切実となっている「人間と技術と環境」の複雑で微妙な問題を考えることを目標に、模索しながら授業を進めています。


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サマーチャレンジ2011中級・上級競技紹介
―サッカーAオープンウェイトフィールド、レスキュー・スーパーチーム競技に挑戦! ―


RISE科学教育研究会では、毎年恒例となった夏のロボットコンテスト、サマーチャレンジを今年も開催いたします。今年で7回目となるサマーチャレンジは、RISE科学教育研究会の教室の生徒を中心に多くの参加者が参加しています。昨年は32チーム、98名が参加しました。

  今年はロボカップジュニア関東ブロック大会が12月末開催と時期が早まったことを受け、中級~上級者を対象にロボカップジュニア競技にモチーフにした「サッカー」「レスキュー」競技を行います。初級者対象には、引き続きKokohore!-Wanwanを実施します(詳しくは来月号にてご紹介)。

  「サッカーチャレンジ」は、サッカーAオープンウェイトで使用されているフィールドを使った競技を実施。サッカーAライトウェイトで使用される「グレースケール(陣地判断のヒントとなる黒から白のグラデーションシート)」が無い中で、敵陣・自陣ゴールの見極め方法の課題に取り組んでもらいたいと思います。


  レスキュー」では、世界大会同様、2台のロボットがチームを編成するスーパーチームでの競技を行います。ロボカップジュニアのテーマの1つである「チームでのプロジェクト学習」として本来あるべき、ロボット2台での競技をこのサマーチャレンジから提唱していきたいと思います。

  また、両チャレンジともチームは大会当日、くじ引きによって編成します。大会当日でのチームメンバー間でのコミュニケーション能力やチームワーク力が試されます。


【サマーチャレンジ2011レスキュー競技紹介】
2チーム2台のロボットでマルチチームを編成。被災者はアルミホイルが巻かれた缶で、2階と1階の2部屋目に一つずつ置かれます。被災者をどのように検知し、避難場所までどのような方法で運ぶかがポイント。また、チームでの役割分担も大切な要素です。


【サマーチャレンジ2011サッカー競技紹介】
サッカーAオープンウエイト、サッカーBの入門競技として行います。フィールドはグリーンカーペットを使用。相手のゴール、自分のゴールをどのように見分けるかがポイント。自律型ロボット2対2で行い、ボールは赤外線ボールを使用します。


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トゥルース・アカデミー2011夏
―未来の科学者として“考える”夏に! ―


 先月から「夏期特別授業」のご案内をしています。今年も工作活動を中心にラインナップしました。

新しい試みとしては、「宇宙エレベーター」講座。実際に研究されている未来プロジェクトについて知り、秋に行われる競技会にも是非参加して欲しいと願っています。未来の研究を引き継ぐ大切な活動です。


  そのほかエネルギーについて研究する活動を、サマーキャンプや夏期特別授業「エコハウス」、「マグネシウム燃料電池カー」など、様々なところで実施しています。日本が抱えている重要な問題を、子どもたちも共に考えるきっかけになればと思っています。



  また、ロボット講座も多数行います。ロボットという科学に欠かせない学習素材を、この夏の機会にぜひ体験しておきましょう!


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★トゥルースの視線(第61回)★
―科学的リテラシー④「有能な他者」と「足場つくり」 ―

科学リテラシーを育てるには「メタ認知」に基づいた理科学習を進めることが必要であり、そのためには「発達の最近接領域」に当てはまる課題設定が必要であることを、これまでお話してきました。今回は、問題意識や見通し、目的意識を観察・実験についての質の高い考察へと変容させていく、『発達の最近接領域に基づく足場つくり』についてご紹介したいと思います。

ヴィゴツキーは「発達の最近接領域」によって、子どもが独力でできる問題解決だけではなく、大人あるいは仲間との協同的な問題解決の存在を提起しました。これは、個人レベルの学習だけではなく社会レベルの学習が、子どもの認識を変容させる状況を作りだすことを意味しています。森本信也氏は、子どもの認識を変容させる社会的レベルの存在を「有能な他者」と呼び、教科書、インターネット、教師の助言、仲間の意見、観察・実験器具など多様に存在することを指摘しています。そして問題は、こうした情報群を子どもにとって「有能な他者」として認識させ、彼らに積極的に情報の引き出しを図らせるかであり、その方略が検討されなければならない、と。

こうした方略をブルーナーは「足場つくり(scaffolding)」と名付け、その機能を次のようにまとめています。
(1)学習課題に対する興味を喚起する。
(2)子どもが問題解決を必要とされるプロセスについて見通しや目的意識を持てるようにするために、課題を単純化し、問題解決に至る段階を少なくする。
(3)動機づけや学習活動の方向付けをすることにより、学習目標到達への追究意欲を維持するようにする。
(4)子どもの問題解決内容と望ましい到達点とのズレを常に明確化する。
(5)子どもが問題解決に失敗し、落胆する気持ちをコントロールする。
(6)子どもに問題解決の進行と共に、その時点で望ましい到達点を示す。

このような「足場つくり」すなわち授業展開ができれば、子どもは教師のちょっとしたヒントやアドバイスを聞き逃すこともなく、他のお友達のつぶやきにも耳を傾けます。そして、これまで学んだ知識の中から活用できるものを懸命に引き出そうともします。子どもが何か解決に向けてのきっかけをつかんだ時に、なぜか皆「いいこと思いついた!」と目を輝かせます。

しかし、一方的に知識を与える授業とは異なり、このような授業展開は教師にとっては難易度の高い指導力が要求されます。年齢によってもクラスによっても個人によっても、状況は千差万別だからです。授業の導入で興味や関心を喚起し、問題解決に向けて諦めることなく根気よく試行錯誤を繰り返すように促し、自分の力で成し遂げたという達成感を味わってもらうには、やはり一筋縄ではいきません。

問題解決を果たしたときの達成感こそが次の課題にチャレンジする意欲を生み出し、自然に自分の力で学力を伸ばしていくという、理想的な学力向上を実現することができるのです。

【参考資料】
『子どもの科学的リテラシー形成を目指した生活科・理科授業の開発』
(森本信也・横浜国立大学理科教育学研究会 編著)

2011年5月15日日曜日

2011年5月

4チームが世界大会に 今年はトルコ・イスタンブール
-ロボカップジュニア関東ブロック大会 ジャパンオープン2011大阪 結果報告-


4月24日(日)に関東ブロック大会(埼玉大学)、5月3日(火祝)~5日(水祝)にジャパンオープン2011大阪(インテックス大阪)が開催されました。

  関東ブロックでは、各チャレンジとも実力を発揮し、ジャパンオープン選抜枠21チーム中、当アカデミーが13チームを占めるという好成績を残しました。

  ゴールデンウェーク恒例行事となったロボカップ遠征ツアーには、過去の人数を大幅に上回る全13チーム30名さらに同じRISE所属のエレファントアリーより1チーム4名、自作マシン講座を担当する奥山先生が茨城で指導している1チーム3名もツアーに同行し、総勢37名が参加しました。

  大会前日2日(月)より新幹線にて大阪入り。壮行会では、選手達がこの場にいない教室の仲間達の分も頑張ると決意を表明し、ご父母の皆さまより激励の言葉が贈られました。

  サッカーチャレンジでは、ここ数年、決勝に進出することができず、今年こそはと強い気持ちで活動をしてきました。その成果が実を結び、全3チームが決勝進出を果たしました。決勝トーナメントでは、連日の連戦にロボットにもダメージが蓄積され、惜しくも世界大会出場とはなりませんでしたが、自作マシン製作講座の当初の目標の一部を達成することができました。決勝進出を果たしたチームは、来年よりパルス発光のボール、グレースケールではなくグリーンカーペットを使用するサッカーAオープンもしくは、Bに出場することになります。


  世界大会へのは複数人チームでの参加が必須となったレスキューチャレンジ。関東ブロック大会後に急遽チームを編成。短期間でチームとして活動すること難しさを本当のチームとして信頼を築くことの大切を実感させられました。その中、2日間、安定したパフォーマンスをした、プライマリ「3T-Robot」「Σ」「RCXレスキュー隊」の3チームが世界への切符を手にしました。

  ダンスチャレンジでは、失敗の少ない演技が評価される中、「Suikas」が大きなスイカ割りを制御し、第3位に輝き世界大会出場を決めました。セカンダリには当アカデミーからの出場はありませんでしが、高度な技術を用い、素晴らしいパフォーマンスを披露し、観客を驚かせました。


  また、全チャレンジで再優秀プレゼンテーション賞を獲得できたこともビッグニュースです。総合学習としての当アカデミーの水準の高さが示されました。

  震災の影響により、毎週大会が行われる超過密スケジュールなかで参加者は全員、自分達の目標に向かいよく頑張りました。結果は問わず、この大舞台での経験は、参加者達にとって自信に、今後を自分で切り開く力になると思います。

  引き続き、世界に挑む挑戦者達にご声援お願いいたします!


■ロボカップ2011 トルコ・イスタンブール世界大会
http://www.robocup2011.org/
http://www.robocup2011.org/
【日時】7/5~7/11 ※ジュニア競技は7/7~7/10
【場所】Istanbul Expo Center

     ■神奈川西東京ノード
      http://blog.goo.ne.jp/rcjj-kanagawa-nishitokyo/

     ■東東京ノード
      http://blog.goo.ne.jp/east--tokyo

     ■関東ブロック
      http://rcjj-kanto.org/news.html

     ■ジャパンオープン大阪
      http://www.robocupjunior.jp/entry/


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サイエンスキャンプ、オーシャンプロジェクト2011参加者募集!
―夏の大自然をフィールドにサイエンス活動! ―


最先端ICT教育・ロボット教育のパイオニアRISE科学教育研究会(http://www.rise-j.net/:視線第10回参照)では、今年の夏も教室から飛び出し、海に山に大自然をフィールドに様々なサイエンス活動を行います。昨年に引き続き、子どもゆめ基金(独立行政法人国立青少年教育振興機構)として『オーシャンプロジェクト』『サイエンスキャンプ2011』を開催します。

    『オーシャンプロジェクト-海と生き物を科学する-』は、RISE所属の教室「エルプレイス」が4年前より開催してきたプロジェクト、昨年からはRISE主催として1泊2日とさらに活動を拡大し行っています。豊かな原生林と美しい海が広がる、神奈川県真鶴市琴が浜海岸で開催します。磯観察会や、シュノーケリングで自然の中の生物に実際に触れたり、データロギングなど様々な活動を通じ、海と生き物について研究します。夕食に出される、サザエやカニなど豪華な海の幸も楽しみの1つです。


    『サイエンスキャンプ2011』は今年で7年目を迎え、今年も「高尾の森わくわくビレッジ」にて実施いたします。「データで探る 山の自然」をテーマに、データロガー、温度や明るさを検知するセンサーを持って登山し、取得したデータを解析し、高尾山の自然や気候について研究します。キャンプならではのテント設営、食育活動を交えた飯ごう炊さん、キャンプファイヤーなど盛りだくさんの3日間です。

    今年の夏は自然の中でどのような出会い、発見が待っているでしょうか?参加者はどのような笑顔を見せてくれるでしょうか?今から胸が高鳴ります。

RISEオーシャンプロジェクト2011 開催概要
■開催日:7月30日(土)~31日(日) 1泊2日
■開催場所:真鶴市 琴ヶ浜海岸
■宿泊先:ペンション「SHIOSAI」
      http://www.pension-shiosai.jp/
■募集対象:小学3年生以上
■参加費:15,750円(税込)
■定員:24名
■申込:6/14(火)~申込用紙またはRISEホームページから

RISEサマーキャンプ2011 開催概要
■開催日:8月9日(火)~11日(木) 2泊3日
■開催場所:高尾の森 わくわくビレッジ
      http://www.wakuwaku-village.com/
■募集対象:小学4年生以上
■参加費:15,750円(税込)
■定員:32名
■申込:6/14(火)~申込用紙またはRISEホームページから→こちら


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★トゥルースの視線(第60回)★
― 科学的リテラシー③発達の最近接領域 ―


  前々回『メタ認知』を基本とした科学教育の必要性をご紹介しました。これは、まさに当アカデミーが実践する『コンストラクショニズム』(視線第2~5回参照)に当たります。では、『メタ認知』を発揮して学習者が自発的・自律的に問題解決に取り組めるようになるには、何が必要なのでしょうか?

  アメリカの教育心理学者であり、認知心理学の生みの親でもあるブルーナー(Bruner.J.S)は、学習初期における直観的な曖昧模糊とした考えた学習者を動機付け、その考えを教授者が生かすとき、それは彼らにとって学習への見通しや目的意識を形づくることを指摘し、これを「ヒューリスティック(heuristic)」と名付けました。

  前回紹介しました森本氏はこれを援用し、「問題解決の始まりは学者自身が疑問、目的意識、見通しや目的意識等の解決すべき課題をまず意識することであり、それこそが学習者の問題解決の動機になる。この活動が維持されていくと、それは結果として、子どもが常に自らの考えの進捗状況をモニタリングするという活動(メタ認知)へと結びついていく」と述べています。

理科教育に置き換えると、「子どもに自然現象にかかわる思いつき、疑問、問題意識をもたせることが、科学的な発見や考察へと導く。そして、子どもの中でこうした活動が少しずつ意識づけられるとき、予想や仮説の形をとる見通しや問題意識として彼らの中に根付いていく。予想→観察・実験→結果→データ処理→考察という巷間指摘される理科における一連の問題解決過程へと子どもを動機付ける重要な要因、それは問題意識、見通し、目的意識であり、観察・実験についての考察の質に影響を与えていく。この過程において、『発達の最近接領域』に基づく『足場作り』によって、子どもの考えが徐々に科学的な内容に変換される」と指摘しています。

  『発達の最近接領域』とは、「子どもが自力で問題解決できる現時点での発達水準と、他者からの援助や協同により解決可能となる、より高度な潜在的発達水準のずれの範囲」を意味します。これは、「心理学のモーツァルト」とも称されたロシアの発達心理学者レフ・ヴィゴツキーが提唱し、課題設定の方法として当アカデミーでも最も重視している考え方です。また、ロボカップジュニアの大会で私が繰り返し申し上げている「子どもの自律的・自発的な学習をいかに確保するか? そのために、大人はどう関わるべきか?」も、この『発達の最近接領域』を考えれば分かり易いかと思います。

  課題設定が子どもの発達水準よりも低すぎれば意味がありません。また、逆に高すぎれば学習意欲もなくなります。大人が無理に水準を引き上げようとすると子どもにとっては苦痛になってしまったり、大人の関与が度を超えて過剰になったりします。要するに、自分一人では解決できないけれど、お友達と意見を交換したり刺激を与え合う中で、あるいは先輩や先生と一緒に考えたり、ちょっとしたヒントやアドバイスをもらったりしながら、自分の力で到達し得るレベルの課題設定をしなければならない、ということです。

  先生と生徒のやり取りだけではなく、生徒同士が意見や刺激を交換し合うコラボレーションの中で知恵や知識を高めていく、気付きと発見を積み上げてファシリテーターとしての先生の触媒を介して、自分たちの力で目標に到達するという授業運営を当アカデミーが採用しているのは、この『発達の最近接領域』の考えに基づいているからに他なりません。(視線第7回参照)

  次回は、『足場つくり』について、お話しさせていただきます。

  【参考資料】
『子どもの科学的リテラシー形成を目指した生活科・理科授業の開発』
(森本信也・横浜国立大学理科教育学研究会)